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「いしがきミュージックフェスティバル'09」
投稿日 : 2009/09/14 14:13
投稿者 久保田r
参照先
・開催日:2009年9月12日(土)
・会場:盛岡城ISHIGAKIステージ、盛岡城AZUMAYAステージ、盛岡城芝生ステージ、教育会館ステージ、教・育会館前ステージ、MOSSステージ、カワトクステージ、盛岡駅ステージ、ホットライン肴町・北銀前ステージ、ホットライン肴町・いさごだ前ステージ、おでって前ステージ(全11ステージ)
・入場料:無料
・主催:いしがきミュージックフェスティバル実行委員会
・公式サイト:http://www.ishigaki-fes.jp/
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Re: 「いしがきミュージックフェスティバル'09」
投稿日 : 2009/09/14 14:19
投稿者 久保田r
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 今年で3回目となる「いしがきミュージックフェス」へ初めて行って来た。前回までは、メイン会場は有料であったが、今年は全会場が無料。盛岡のマチナカに音楽が溢れる1日となった。

 「いしがきミュージックフェス」自体には興味はあったものの、出演アーティストの傾向から10代〜20代の若者を中心としたイベントという意識があり、なかなか重い腰を上げるまでには至らなかった。それが、今年は、私が10代の頃からファンである甲斐バンドが出演するということになり、『これは是が非でも行かねばならない!』と俄に気合いが充実し、当日勢い込んで会場へと乗り込んだ。

 当日は、前日までの好天はどこへやら、朝からぐずついた天気で、それでも日中はなんとか晴れ間も覗いたものの夕方からは大粒の雨。出演の1時間前に着いた教育会館の入口には、入場制限により列をなして待っている人が何人か。気温が下がり、肌寒い中、隣にいた同年代くらいの女性の方とお喋りをしながら待っている間にどんどんと入場待ちの列は伸びる一方。前のバンドの演奏が終了し、転換の時間が訪れ、私は何とか座席(それも運良く前列の方!)を確保することができたが、立ち見にも入ることができなかった人たち(200人ほどいたらしい)は、ロビーで音のみを聞いていたとのこと。

 会場内の照明が暗くなり、甲斐バンドがステージに登場するなり、私の目はじわっと涙で滲んだ。そして、1曲目の「安奈」が始まると、10何年振りの「生」の甲斐さんの歌声が耳に飛び込み、一気に感激が込み上げ、全身が細かく震えるのが分かった。大袈裟な表現かも知れないが、私の体の細胞の一つ一つに甲斐さんのライブの音と空気が染み付いており、その記憶が瞬間に開花したという感じ。まさしく私は、甲斐さんのライブで青春時代を過ごし、自分自身の基を体で感じた瞬間だった。

 曲間にはMCがあり、小沢一郎さんの関東とは違って地元では気を許して満面の笑みで写っているポスターのことや、2曲目の「漂泊者(アウトロー)」で観客が総立ちとなり、「3曲はバラードなのに何で立つんだバカ(笑)」と甲斐さんが言い、松藤さんが「3曲目違うよねぇ(笑)」と言って笑いを取ったり(でも甲斐さんが「O.K このまま行きましょう。「BLUE LETTER」」と言ったので、その後はみんな総立ちのまま聞いてた)、「いしがきミュージックフェス」にはサプライズで登場する筈がいつの間にかトリで歌うことになってたという話や、来月リリースのニューアルバムと、同じく来月スタートのツアーの話をしてぬかりなくプロモーションをし、来年1月22日の盛岡市民文化ホールでのライブは3人じゃなく一杯連れて来るからと強調し、充実の30分間を過ごした。

 その日歌ったのは、「安奈」「漂泊者(アウトロー)」「BLUE LETTER」「HERO(ヒーローになる時、それは今)」の4曲。メンバーの松藤英男さんと田中一郎さんと3人でのライブだったため、伴奏はギターのみ。それなのに「漂泊者(アウトロー)」も「HERO(ヒーローになる時、それは今)」も、音の不足感というものが全くなく、それどころかドラムなどのリズムの音までもが入っているのではないかと感じられるほどの素晴らしい演奏と迫力のヴォーカルにただただひたすら感動。3曲目の「BLUE LETTER」では、途中の「ふたりだけの浜辺 今は跡もなく 暗い闇の中」のところでピタっとギターの演奏が止み、伸びのある甲斐さんの歌声が会場全体に響き渡り、至福の瞬間を体験した。

 甲斐さんのあの変わらぬ歌声は、素晴らしいを通り越して物凄いとしか言い様がない。私がライブに通い詰めていた10何年前の印象と変わらない。声の伸び、張り、歌い込まれ、磨かれた声。年月を経ても変わらぬその歌声を維持するストイックなパワーが、甲斐さんの内側から自然に発せられ、聴く人の耳に届く。プロとしての自覚と誇りが格好良く伝わってくるその歌声に、私は圧倒的なまでの感激を覚えた。たった30分、しかも無料のステージで、きっちりと歌う甲斐さんの姿勢がとてつもなく格好良かった。

 ラストの「HERO」を歌った後、「1月22日、ライブで会いましょう!」と甲斐さんが言い、ステージからメンバーが去った後、当然会場内にアンコールの拍手が鳴り響いた。たった4曲じゃ物足りない。もう一度出て来て。その願いが届くようにとしばらく手拍子が続いたが、無情にも場内を照らす明かりが灯り、観客たちは場外へと促された。外は、小雨。火照った体をクールダウンするのに丁度いい雨だった。私は、「HERO」を口ずさみながら帰路へとついた。もう一度、今度はフルステージで甲斐さんの歌を目一杯浴びたい。そう思わせるに十分なステージだった。私は、まんまと「プロモーションのために来たんだからね」という甲斐さんの口説きに落ち、来年1月22日のライブに行く決心をした。デビュー35周年を迎えたベテランアーティスト、甲斐よしひろは、的確に己の音楽表現と歌声と伝えるべきことを伝え、ここ盛岡「いしがきミュージックフェスティバル」のステージに鮮烈に存在感を刻んで去って行った。流石、年の功(笑)。
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