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「宣戦布告」 麻生幾
投稿日 : 2002/08/26 21:48
投稿者 Excalibur
参照先
敦賀半島沖に北朝鮮の物と思われる潜水艦が漂着。しかし乗員は逃走した後だった。密かに上陸していた彼らは、対戦車ロケット砲などで武装した特殊部隊員と判明。この未曾有の事態に政府は右往左往するばかり。そんな中で遂に犠牲者が続出し、首相は自衛隊の出動を決断するが、その動きに危機感を感じた中国、韓国、米国らが不気味な動きを見せるのであった。
これは有事の際の軍事的シュミレーション小説ではない。物語の大半は政争に費やされている。出動させるまでの様々な法的な問題や警察との縄張り争い。更にいざ出動となっても、問題は山積されている。執拗なまでのその描写は、時に笑いを誘うほど。真面目に捉えようとすればするほど、「戦えない軍隊」である自衛隊の実情が滑稽なほど浮き彫りにされていくのだ。派手なドンパチを期待する人には物足りないだろうが、日本の危機管理能力の欠如をフィクションという手法で真正面から見据えた力作であることは間違いない(因みに私が読んだのは「加筆完全版」と冠された文庫版である)。
そんな作品がこの度映画化された。このスケール感からするとその出来あがりには不安の方が強いが(お蔵入り寸前だった、とも)、どこまで内容を掬い上げているのか公開が楽しみである。
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