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「宝島」 栗本薫
投稿日 : 2002/11/25 21:18
投稿者 Excalibur
参照先
本編は既に86巻を数えた<グイン・サーガ>だが、久々に刊行されたこの<外伝>もいつの間にやら17巻目。10巻以降は本編と同時進行のサイド・ストーリーだったために、本来の外伝としては実に9巻以来。サーガを支える人気キャラクターの一人、ヴァラキアのイシュトヴァーンの過去にスポットを当てた一篇で、<外伝>の中では『ヴァラキアの少年』(6巻)、『幽霊船』(3巻)、『マグノリアの海賊』(9巻)に続くもの。シリーズ初の上下巻というのも力が入っているが、続けて読めば本編第1巻に登場するまでに、イシュトがどこで何をやっていたのかがわかる仕組みになっている。
本編では次第に破滅へと近づきつつあるイシュトだが、この頃はまだ恐れを知らない向こう見ずな少年。そんな彼が初めて大きな挫折を経験するのがこのエピソードで、どうあっても明るくなりようのないストーリーなのだが、それにしてもカタルシスがまるでない。「現在の」イシュトの回想形式で展開するゆえか、「現在の」重いイメージに引きずられているような、暗いトーンに全体が占められている。時系列的に「後」に位置する本編初登場のイシュトは、もっとタフで陽気なガキだったわけで、この後どうやって己を取り戻してゆくのだろうか。また上下巻という分量の割に内容が薄く、それに今のままではキャラクター・イメージが直結しないのがちょっと寂しく、かつ物足りない。
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