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「アンドロメダ病原体」 マイクル・クライトン
投稿日 : 2004/06/11 22:23
投稿者 Excalibur
参照先
アリゾナ州ピートモンド。人工48人のこの小さな町は突如死の町と化した。墜落した人工衛星に付着していた未知の物体が、住人たちを瞬く間に死に追いやったのだ。衛星を回収に向かった軍の回収班も連絡を断ち、遂に極秘に組織されていた特別プロジェクトのメンバーに召集がかかる。調査の結果死体の血は全て凝固していることが判明したが、奇跡的にアル中の老人と赤ん坊という、対極的な生存者も発見された。彼らは何故に助かったのか、2人の共通点は一体何なのか?

原書は1969年に出版された。まだアポロ宇宙船が月に到達する前である。今更ながら著者クライトンの先見の明に驚かされる。しかも既に起こってしまった事件の報告書に基づいてまとめられた、というドキュメンタリー・タッチで、図表やデータ(本物と、そして巧妙に作られた創作物)を折り込んでディティール・アップを図るテクニックもクライトンならでは。反面、登場人物たちに魅力が乏しいが(誰が誰やら、あまり差別化されていない印象がある)、それもまたクライトンの手かなとも思えてくるくらいだ。
物語は、はたして宇宙からやってきた未知の生命体とは如何なるものなのか、何故赤ん坊と老人だけが助かったのかという謎解きの興味でグイグイと引っ張って行くのだが、そのクライマックスは些か唐突。”予め用意されていた”核爆弾の爆発阻止へのタイム・サスペンスは結末が読めるだけに興醒めだし、せっかく生命体の正体が判明し対策が取られるのかと思いきや、突然変異によって人類にとって無害な存在となり、メデタシメデタシという解決は狐につままれたよう。とはいえ未知の細菌が人類にとって大いなる脅威となる、というのは今日でも全く色褪せない内容。細かい部分に欠点があるにせよ、なお一級のエンターティンメントであることには間違いない。

1971年にロバート・ワイズ監督によって映画化(邦題『アンドロメダ・・・』)されている。
しかし、何故この生命体が「アンドロメダ菌株(ストレイン)」と名付けられたのかが、最後までわからなかった・・・。
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