「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」 歌野晶午
投稿日 | : 2009/02/07 16:07 |
投稿者 | : Excalibur |
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タイトルはまるでジュニアアイドルのDVDのようですし、内容も少女探偵モノなのかと思いましたが、実はまるで違いました。
主人公は地方警察の刑事・舞田歳三。彼を語り部とした連作短編ミステリーです。
歳三は仕事帰りに兄・理一の家に立ち寄り、夕飯を食べながらビールを飲むのを楽しみにしています。
その理一が男手一つで育てているのが、小学校5年生の一人娘、ひとみ。つまり、歳三にとっては姪っ子にあたります。
その姪っ子相手の何気ないやりとりや、ふと彼女が口にした一言がヒントになって、歳三が難事件解決の糸口を掴むというのが毎回のパターンになっているのです。
ひとみちゃんは主人公でもなければダンスをするシーンもありませんし、ましてや探偵ごっこをする訳でもないのですから、そういった作品を期待した人にはガッカリでしょうね。
収録されているのは「黒こげおばあさん、殺したのはだあれ?」、「金、銀、ダイヤモンド、ザックザク」、「いいおじさん、わるいおじさん」、「いいおじさん?わるいおじさん?」、「トカゲは見ていた知っていた」、「そのひとみに映るもの」の6編。
ジャンルとしてはライトノベルに分類しても良いかと思いますし、語り口も軽めで文体も平易なので一気に読めるのですが、トリックや犯人像はなかなか凝っています。
また事件が解決して一つのエピソードが終っても、後のエピソードで事件に関する事柄や人物の違った面が窺えたり、大きな影響を与えていたりと、全体の構成もなかなか考えられていますので侮れませんので読み応えは充分あります。
今後ともシリーズを続行して欲しいものですね。