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「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 涌井学
投稿日 : 2010/11/05 18:07
投稿者 久保田r
参照先
2010年10月11日 (株)小学館 小学館文庫

 2010年12月劇場公開予定の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」のノベライズ。日本のアニメーションの伝説的な作品である「宇宙戦艦ヤマト」の実写版の映画の脚本をもとに書き下ろした小説版。

 脚本をもとにしたノベライズというだけあり、全体的に淡々とした文章でストーリーを読み進める内容となっていて読みやすかった。この小説の中味がそのまま映画と同じなのかどうかは、封切りを待たなくてはならないが、文章の流れから察するに余分な肉付けなどは無いように感じられたので、おそらくは多分このような展開であり内容なのではないかと感じているが、さて如何に。

 アニメの「宇宙戦艦ヤマト」のファンには、この小説に描かれている内容がどのように受け止められているのかは、私の想像の域を超える。「完結編」から「復活篇」までの流れを知っているファンでも、そして殊に「ヤマト」は「さらば」までであると評価しているファンに於いては、さぞや胸中複雑な心境ではないだろうかと察するしだい。

 小説を読んで感じたことは、実写化はかくも難しいことなのかということ。アニメを作ったスタッフがそのまま実写版の映画を作っている訳ではないので設定や中味に相違が生じてくるのは仕方のないことだと思うし、それにアニメの「パート1」を作った当時とは時代の風潮や価値観といったものにあらゆる面で差があるので、アニメを見て感じたことをそのまま実写版に求めるのは酷なことだということと、アニメとの決定的な相違は、ガミラスとイスカンダルの存在。私は、小説を読んだ後、14万8千光年の宇宙の旅というよりも、抽象的な表現になるが、人間の奥底にある精神的な内宇宙の旅といったものを感じた。

 また、ノベライズを読んで感じたのは、演じる役者の顔が見えてくるようなところが良かった。それぞれのキャラクターを演じる役者の仕草といったものが窺え、自分なりに実写版のおおよその雰囲気が掴めた点は、ノベライズとして良い点ではないかと思った。特に佐渡医師については、演じる高島礼子さんの姿が目に浮かび、感動で涙腺が緩んだほどだった。次に心に響いたのは、島大介父子。この父子の設定には泣けてくる。健気さと希望を諦めないこと…が、この父子の存在にある。

 古代進と森雪については、なんとも言いようがない。美男美女のロマンスは映画では必要なことなのだと思うが、でもこういう内容と展開で良いのかどうかは私的には微妙なところ。だが、実写版に於ける森雪の設定は、黒木メイサさんのイメージと合っていると思う。

 方々にアニメでお馴染みの台詞やシーンがあり、ファンとしては思わず反応してしまう。が、でも少しばかり数が多いようにも感じた。オリジナルに対する敬意の表れとは思うけれども、実写版は実写版のオリジナルとなれば良いと思うので、堂々と実写版ならではのかっこいい台詞を生み出して良いと思う。…が、映画ではどうなっているのだろうか。それも気になるところ。

 最後に。アナライザー。健気の代表です。

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