2007年6月30日　集英社文庫

＜収録作品＞
ならず者18号／王様とカメと鈴木くん／究極の選択／いつかどこかで／共有／冒険王ヤーヤー／ヒッチハイカー、ヨーコ／旅人の椅子／時間旅行／大きなダディと小さなフランツェ／定められた旅／厳然たる三色の法則／脱サラの二人／借り物競走／奇跡の犬／ザ・リトル・ファシスト／二五○○年、宇宙の旅／いとしのローラ／おのおのの苦情／ならず者55号／ミステリー・トレイン／異文化探訪／世界観を変える驚愕の島／日曜日の朝は…／ファンタジア／ライラおばさんの宿／銀色の町／Trauma／パン爺の旅行鞄／紫の恐怖／アーニャの道／フルーティー・デイズ／ドクター・ガナイの航海記／ミッシング・ブライド／失跡した旅人に関する諸説／運命ーunescapable journeyー／残酷なお人好したちの里／パッカラキン五世の生涯／注文のいらないレストラン／続異文化探訪／ジャンピエール・ロッシ／帰郷／花園／試食の人／月／王様と鈴木くん／アフター・フライ／ビフォア・フライ（全48編）あとがき／文庫版あとがき／ショート・ショート・トリップ（長崎訓子）／旅のかす（いしいしんじ）

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　1999年の一年間に渡って週一回のペースで毎日中学生新聞に連載されていたという作品の短篇集。全52編のうち48編を収録。全てのお話に挿絵つき。一つのお話の分量は、原稿用紙3枚分。

　表紙にロケットやUFOや惑星が描かれ、まるで宇宙旅行のようなイメージのイラストの通り、収録されているお話の雰囲気は、ほぼSFの世界。ファンタジー色豊かなユニークなお話がたくさん収録されてあり、束の間の「ショート・トリップ」が楽しめる内容となっている。

　中には、あっさりとし過ぎている内容のものもあるが、ミステリー風味のものや、ブラックなユーモアが感じられるもの、コミカルなものまでと、短いお話の中にも色々な要素が盛り込まれてあり、作者の限りない想像力の翼の広がりが感じられる知的好奇心に溢れた内容となっていてとても楽しく読むことができた。

　どの作品も楽しかったが、お気に入り作品を挙げるとすれば「冒険王ヤーヤー」「おのおのの苦情」「アーニャの道」「残酷なお人好したちの里」「パッカラキン五世の生涯」の5作品。どれもほろ苦さがあって好み。収録作品全48編は、色々な目線で色々な角度から色々なシチュエーションによって描かれてあるので、どこかにきっと読む人の好みにあったお話があるはず。好みの作品を見つけてそこから読み始めるのも一つの読み方かも知れない。

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