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「人の短篇集」 原田宗典
投稿日 : 2011/12/08 15:14
投稿者 久保田r
参照先
平成11年12月25日 角川文庫

<収録作品>
電気工事夫の屈託/一瞬を生きる/郵便配達夫の片想い/人を喰う本/調香師の不幸と幸福/骨董屋の見たもの/百点満点の家/気だるい獣医/遠くにいる自分/編集者の彷徨/過去を訪ねて/ベルボーイの思い違い/小さく大きな舞台/空き家の中に/降りてきた女/何もないデパート/彼の一千万円/タクシードライバーの憂鬱/スタンドボーイの夢/塩辛いおしぼり/レフェリーの勝利(全21篇)

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Re: 「人の短篇集」 原田宗典
投稿日 : 2011/12/08 15:16
投稿者 久保田r
参照先
 21人の「彼」と、20もの職業が登場する短篇集。主人公は全て「彼」であり、20の職業にまつわる視点から物語が紡がれている。21の職業とは、電気工事、写真家、郵便配達、書店員、調香師、骨董屋、レンタカー営業所、獣医、コピー機メンテナンス、編集者、営業マン、ベルボーイ、劇場管理、不動産、カーディーラー、デパート屋上遊戯管理、経理課、タクシードライバー、スタンドボーイ、レフェリー。

 一つの職業とそこで働く「彼」の人生を綴っている当短篇集は、ままならない人生の苦楽が凝縮されてあり、架空の登場人物の人生とはいえ、一人一人の人生の縮図を読むような、奥行きの深い短篇集であると感じた。それぞれの作品の主人公の「彼」には名前はなく、「私」という一人称を使用していない点に、一歩引いた距離感を覚えながら、斜向いに他人の人生の物語を垣間みるようなそんなスタイルの文章となっている。

 21もの短篇には、過去を振り返るノスタルジーや、哲学的な生き様、オカルト、ハードボイルド、サスペンス…などなど、さまざまなテイストで書かれた作品が並んでいる。一貫して感じるのは「ままならない人生」であるが、ままならない人生の中で起こるささいな、あるいは特別な「出来事」が、一つの物語として描かれている。文章のリズムもよく読みやすい内容。おすすめ。
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