映画『アンブレイカブル』のノベライズだが、何故か著者名の記述がない。「Ｎｏｖｅｌｉｚａｔｉｏｎ　ｂａｓｅｄ　ｏｎ　ｔｈｅ　ｓｃｒｅｅｎｐｌａｙ　ｗｒｉｔｔｅｎ　ｂｙ　Ｍ．Ｎｉｇｈｔ　Ｓｈｙａｍａｌａｎ」と表記されているだけ。Ｍ・ナイト・シャマラン（監督）の書いた脚本に基づいて小説化しましたよという程度の意味でしかなく、では実際にこれを書いたのは一体どこの誰なんだろうか。
脚本に基づいてというだけありキャラクター描写もストーリー展開も映画そのまま。エピソードを膨らませたりシーンの順番を入れ替えたりといった脚色も一切無し。ただ尺の関係からか削られたシークエンスが復活しているので映画を補完する役目は果している。
当然ながらノベライズの宿命として、小説版を読んだだけで作品世界をイメージ出来るのかというと、幾分か辛い面もあるのは否めない。特に一連の謎解きに絡むシークエンスは、映像がもたらす圧倒的な情報量の前には分が悪い。これ以上はネタバレになるので詳しくは書かないが、特に最後の「二つの名前」に言及したセリフが何故か抜け落ちているのが不可解。個人的にはこのセリフがあってはじめて設定を納得したので、なんだかオチがなくなってしまったような不満を感じた。

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