’８０年暮に公開された劇場用オリジナル作品をＬＰ２枚組で収録。上映時間が２時間を越える作品だと、例え音質をモノラルに落としても完全収録は無理。そこで音素材を一度バラしてからキャパシティに合わせて再構成されている。セリフの割愛はないようだが、ＢＧＭだけ、ＳＥだけ、或いは何の音もないような場面は極力切り詰められている。ナレーションやセリフの追加補足はないので「音」だけで物語を把握しようとすると些か辛いのだが、録音はステレオ（擬似ステレオ？）なので耳で楽しむという観点からすると、実は映画そのものよりもグレードアップしているはず。
ただしオリジナルの映画版を好きな人がこのＬＰを聴くと、ちょっとした違和感を覚えるのではないかと思う。というのもこの映画には同じくすぎやまこういちが担当したＴＶ版『サイボーグ００９』からのＢＧＭの流用があるのだが、ドラマ編再構成にあたっては流用曲を一切カットして全て映画オリジナル曲に差替えられているからだ。特にクライマックスのボルテックスのシーンなど、全く雰囲気が違う曲が流れてしまうのでどうしても馴染めない。
ところでカデッツ要塞星で華々しく自爆して果てる００４だが、ラストシーンでは唐突な復活を遂げる。ところがこの作品がＴＶで放映される際には、放送時間枠の関係からか（ない方がスッキリするというファンの声も）カットされることが多いので物議を醸してきたが（何せビデオなどない時代のこと、映画館へ足を運んだファンとＴＶでしか見たことのないファンでは、違う結末を見せられていたわけだ）、このＬＰではきちんと残されているのでご安心を（？）。

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