６代目ジェームズ・ボンド＝００７役として、ダニエル・クレイグを迎えたシリーズ２１作目のサントラ盤。
音楽を担当しているのは、１８作目『トゥモロー・ネバー・ダイ』以降、これが４作連続登板となるデビッド・アーノルド。シリーズの大半を手掛けたジョン・バリーを信奉している彼は、一方でそのバリーからの信任も厚く、今回もバリーのテイストを残しつつも自分の色を滲ませた数々のスコアを作品に提供してくれている。

特筆すべきは今回の作品が、シリーズの第一作と規定されている点。ここでのボンドはまだ凄腕のスパイではなく、ようやく”殺しのライセンス”を手に入れ、００課員に昇格した駆け出しと設定されているのだ。そのため音楽面でも、御馴染みモンティ・ノーマン作曲の”ジェームズ・ボンドのテーマ”は使わず、その音型を残しながらも新しいボンドのテーマを生み出すという工夫がなされている。メロディは違いながらも、しっかりとボンドらしさが垣間見られるのがアーノルドの凄さだろう。
そしてラスト。
ボンドが晴れてボンドとなった瞬間に、それまで押さえていたものを一気に吐き出すかのように、高らかに”ジェームズ・ボンドのテーマ”が流れるのである。

編集

１．アフリカン・ランダウン　　２．ナッシング・シニスター　　３．アンオーソライズド・アクセス
４．鈍い頭　　５．ＣＣＴＶ　　６．ソランジュ　　７．トリップ・エース　　８．マイアミ・インターナショナル
９．”資金係”　　１０．アストロモンテネグロ　　１１．ディナー・ジャケット　　１２．ザ・テル
１３．階段での闘い　　１４．ヴェスパー　　１５．ボンド・ルーゼズ・イット・オール
１６．ダーティー・マティーニ　　１７．ボンド・ウィンズ・イット・オール
１８．ジ・エンド・オブ・アストンマーティン　　１９．ザ・バッド・ダイ・ヤング　　２０．恋人たちの街
２１．スウィッチ　　２２．フォール・オブ・ア・ハウス・イン・ヴェニス　　２３．ヴェスパーの死
２４．ザ・ビッチ・イズ・デッド　　２５．ザ・ネーム・イズ・ボンド・・・ジェームズ・ボンド

編集