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「宇宙戦艦ヤマト/復活篇」オリジナル・サウンドトラック
投稿日 : 2010/05/12 16:00
投稿者 久保田r
参照先
2009年12月16日 EMIミュージックジャパン

(1)無限に広がる大宇宙 (交響組曲宇宙戦艦ヤマト」序曲)
(2)カスケードブラックホール (マーラー交響曲第2番「復活第一楽章」)
(3)古代の帰還「別離」「別離09」(宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ち「別離」)
(4)若者たち (宇宙戦艦ヤマト新たなる旅立ちBGM)
(5)氷塊に眠る (宇宙戦艦ヤマト完結編「ヤマト葬送のテーマ」)
(6)ヤマト発進 発進準備 宇宙戦艦ヤマト2009(Short Version & Symphonic Version)
(7)戦火の渦へ 新コスモタイガー2009 ヤマトの戦い
(8)フライバイ・ワープ (宇宙戦艦ヤマト完結編「脅威のニュートリノビーム」)
(9)アマール (チャイコフスキー「スラヴ行進曲」)
(10)ゴルイ (ベートーヴェン「エグモント序曲」)
(11)女王イリヤ (ショパン「ノクターン#1」)
(12)未来への戦い (ベートーヴェン「月光」)
(13)SUS大要塞 (グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調作品16」)
(14)「復活篇」のためのシンフォニー (ヤマト胎動編「我が心の不滅の艦」BGM)
(15)メッツラー
(16)この愛を捧げて(Symphonic Version & Short Version)


音楽監督・指揮:大友直人
ヤマト・オリジナルスコア:宮川泰、羽田健太郎
音楽:山下康介

演奏:日本フィルハーモニー交響楽団(M-9,10,11,12,13)
ピアノ:横山幸雄(M-11,12,13)
録音ホール:杉並公会堂

演奏:東京ニューシティ管弦楽団(M-2,3,6,7,14,15,16)、THE ALFEE(M-6,16)
ギター:直居隆雄(M-14)
ピアノ:宮本一(M-3,6,7,15,16)
録音スタジオ:アバコクリエイティブスタジオ

企画制作:エナジオ
エクゼクティブ・プロデューサー:西崎彰司、市井三衛、中曾根純也(EMI Music Japan Inc.)
スパーバイザー:平野晶洋
スペシャルアドバイザー:田代敦巳、吉田知弘
ディレクター:米田惠一
プロデューサー:木崎徹
制作総指揮:西崎義展

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Re: 「宇宙戦艦ヤマト/復活篇」オリジナル・サウンドトラッ
投稿日 : 2010/05/12 16:16
投稿者 久保田r
参照先
 2009年12月12日、劇場用作品として文字通りスクリーンに復活した『宇宙戦艦ヤマト/復活篇』のオリジナル・サウンドトラック・アルバム。『復活篇』の音楽は、この他に羽田健太郎氏が作曲し1984年に初演した「交響曲ヤマト」を大友直人氏監督・指揮のもと新録音した「交響曲ヤマト2009」をリリースしている(レビュー:http://chaos-i.com/kansou_4/soundtrack/patio.cgi?read=149&ukey=1)。

 「宇宙戦艦ヤマト」の音楽は、作曲家の宮川泰氏とプロデューサーの西崎義展氏が、一作目から作品ごとに心血を注いで築き上げ、「ヤマト」独自の音楽として常に素晴らしい旋律を響かせてきた歩みと重みがある。時に作品よりも先に「音楽集」をリリースし、映像に付けた音楽としてではなく、作品とそれに伴う映像のイメージを先行して音楽で伝えるなど、「ヤマト」に於いての音楽の役割は非情に大きく、ファンもまた「ヤマト」の映像を見るのと同じくらい、時にはそれ以上の期待を持って音楽と接するのをいつも楽しみにしていた。それほど重要な「ヤマト」の音楽を全作に渡って作曲した宮川泰氏が2006年3月21日に亡くなられ、翌年の6月2日には羽田健太郎氏、同年8月1日には作詞家の阿久悠氏が相次いで亡くなられ、「ヤマト」の音楽を作り上げて来た音楽家たちがこの世を去られたことで、「ヤマト」の新作映画となる『復活篇』の制作は実現が困難なのではないかと思われた。

 しかし、音楽担当に羽田健太郎氏とかつて親交があり「交響曲ヤマト」の初演で指揮された大友直人氏が正式参加となったことで、『完結編』よりもさらにクラシック寄りの音楽になるであろうというおおよその音楽のイメージが掴めたことで、『復活篇』の音楽に対する大きな不安は薄らいだが、オフィシャルサイトオープン後も具体的な音楽の話題はなく、主題歌についても正式な発表がないまま時が過ぎ、劇場公開日が迫りつつあった2009年の10月にようやくサントラ・リリースの報せが入り、そのリリース日が「交響曲ヤマト2009」が劇場公開3日前、「サントラ」に至っては発売延期を経て公開初日から4日後という、ともかくも”作品ありき”というスタイルでようやくファンのもとへと『復活篇』の音楽が届く形となった。

 音楽を先に聞いてイメージを膨らませたいと願っていた自分ではあったが、手元に届いたサントラをいざ聞いてみると、「あ。なるほど」と一目瞭然ならぬ一聴瞭然した。従来のようなイメージを喚起するような音楽ではなく、シーンに合わせたテーマを収録しているため、これは事前にサントラを聞いても正確なイメージが掴めなかったであろうと納得した。過去の作品からのテーマの流用然り、ましてや今回はクラシックを多用しているため音楽から受けるイメージに統一感がないため、これでは『復活篇』の内容のイメージが掴みにくいのは当然であり、劇場公開前ではなく封切り後のリリースが妥当であったと思うしだい。それゆえ、このアルバムは、あくまでも「サントラ」というスタンス。従来の「音楽集」とは全く異なる性格のアルバムとなっている。

 アルバムの構成を大きく分けるとすると3つに分けることができるように思う。ヤマト・オリジナルスコアとクラシックと他。ヤマト・オリジナルスコアは、過去の作品からのテーマの流用。「ヤマト」の宇宙を代表する名曲中の名曲である(1)「無限に広がる大宇宙」を始め、「新たなる旅立ちのテーマ」、「別離」、「ヤマト葬送のテーマ」、「脅威のニュートリノビーム」というかつて作品を盛り上げたテーマたちが今回映画用にトラックダウンされ『復活篇』を盛り上げている。新録音は、(6)「宇宙戦艦ヤマト2009」と(7)「新コスモタイガー2009」。(6)「宇宙戦艦ヤマト2009」は、アクエリアスの氷塊からの発進時に劇中で流れたTHE ALFEEの歌う「宇宙戦艦ヤマト」。オーケストラアレンジとロックバージョンの「宇宙戦艦ヤマト」が絡み合っている楽曲。(7)「新コスモタイガー2009」は、新たにお披露目となった艦載機コスモパルサーのテーマ。オリジナルの躍動感あるドラムとベースのリズムが、オーケストラアレンジにより繊細さと華麗さを備えた楽曲へと化粧直しが施された。楽曲後半部には、山下康介氏作曲の「戦闘のテーマ」がボーナストラックとして収録されている。

 アルバムの2本目の柱となるクラシックは、マーラー交響曲第2番「復活第一楽章」、チャイコフスキー「スラヴ行進曲」、ベートーヴェン「エグモント序曲」、ショパン「ノクターン#1」、ベートーヴェン「月光」、グリーグ「ピアノ協奏曲イ短調作品16」といった有名どころがラインナップ。どれもが印象に残る曲ばかりであるけれども、中でもSUS大要塞のテーマとなったグリーグ「ピアノ協奏曲イ短調作品16」は、監督の西?ア義展氏が企画当初から決めていた曲というだけあってインパクト十分。アルバム後半部の(9)〜(13)は、大友直人氏の本領発揮とばかりクラシックの演奏を篤と聞くことができる内容。

 ヤマト・オリジナルスコアでもなくクラシックでもないその他の楽曲が、終盤の3曲。(15)「メッツラー」は、山下康介氏作曲のオリジナル曲。異次元生命体として登場するメッツラーの存在感を表現している。ラスト(16)「この愛を捧げて」は、サントラのためのスペシャルメドレーとなっていて、山下康介氏アレンジによるインストゥルメンタル・バージョンとTHE ALFEEの歌うオリジナル・ショートバージョンがしっとりとアルバムを締めくくっている。

 そして、真打ちがこの曲。このサントラの縁の下の力持ち的な存在として陰ながらしっかりと支え、且つ『復活篇』そのものの象徴として輝きを放っている(14)「「復活篇」のためのシンフォニー」。ビデオ作品「我が心の不滅の艦」で羽田健太郎氏が作曲した曲で、ヤマト音楽としての遺作。収録にあたり、山下康介氏がアレンジを担っている。この曲は、宮川泰氏が紡いだ数々のヤマト音楽の空気、流れ、情といったものを羽田氏の感性により総合的な曲として表現されており、冒頭の泣きを感じるギターのフレーズを耳にするだけで胸が熱くなるほど。心に染み入る切なさが表現されており、郷愁さをも持ち合わせている。『復活篇』の礎とも言える大切な一曲。
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