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「わが青春のアルカディア 無限軌道SSX」
投稿日 : 2002/07/03 22:01
投稿者 Excalibur
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映画『わが青春のアルカディア』の続編で、正式題名は『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』。
第一話冒頭ではかなり趣きの違う劇場版のダイジェストがついているが、以後のストーリーは概ね劇場版に準拠した内容。ただし映画を見ていないと話がわからないかというとそうでもなく、これはこれで独立した内容。むしろ映画版に入れこんだ人ほど、このTVシリーズには違和感があるだろう。
イルミダスから指名手配(「SSX」とはハーロックたちに付けられた手配書ナンバーの略称、かつトチローが建造した彼らの拠点となる宇宙要塞の名称でもある)を受けお尋ね者となったハーロックたちは、当初はハーロックを狙った賞金稼ぎの少年・物野正や、ドクター蛮、有紀蛍、レビ(トカーガのゾルの妹ミラに良く似た少女)などの新乗組員を加え、宇宙のどこかにあるという理想郷を探す旅を続けている。イルミダス軍にはハーロックに恨みを抱くミスター・ゾーンなる地球人もおり、執拗にハーロックを追撃するのだった。

松本アニメというと『宇宙海賊キャプテンハーロック』はテレビ朝日、『銀河鉄道999』や『新竹取物語1000年女王』はフジテレビ系(『惑星ロボダンガードA』や『SF西遊記スタージンガー』もそう)で放映されていたけれども、今回は初参戦のTBS。何となく嫌な予感がしたのだが不幸にもそれは的中してしまい、裏番組が強力だったこともあって視聴率的に苦戦。短命に終わり、その後に予定されていた『クィーンエメラルダス』映画化も中止になり(勿論、相次いで公開された『1000年女王』と『わが青春のアルカディア』が興行的に勢いを失っていたことも原因ではあるが)、結果的に松本アニメ・ブームに止めを刺してしまった曰くつきの作品である。

では裏番組に泣いた不幸なだけの作品なのかというと、それも違うだろう。強力な対抗番組がなくても、おそらく苦戦を強いられたであろうことは、想像に難くない。映画そのものが興行的に今一つで、確実にブームが終焉に向かっていたことを差し引いても、やはり一ファンとしてこのストーリー展開には納得出来なかったからだ。その理由を簡単に言えば、松本ユニバースのリンクを断ち切ってしまったことにある。
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(承前)
投稿日 : 2002/07/03 22:02
投稿者 Excalibur
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いってみれば「雇われ原作者」として参加したTVオリジナルの『ダンガードA』や『スタージンガー』、それに集団作業である『ヤマト』、更にスタッフおまかせであったTVシリーズの『ハーロック』、『999』、『1000年女王』等々は、厳密には松本零士作品とは呼べないものであった。
それに対して劇場版の『銀河鉄道999』、その続編『さよなら銀河鉄道999/アンドロメダ終着駅』、更に『1000年女王』、それに劇場用オリジナルの『わが青春のアルカディア』。これら4作品は松本零士自ら「企画・原作・構成」の肩書を持って全面的に取り組んだ、言わば別格作品であった。また原作ファンならご承知の通り各作品は相互補完の関係にあり、特にこの4本は密接な関係を持つものだと原作者も重ねてコメントしていたのである。となればTVシリーズとはいえ原作者が深く関与し、映画の続編と規定した本シリーズは映画と映画の橋渡しの役目を担っていたはずなのだ。メーテルが、星野鉄郎の父(後の黒騎士ファウスト)が、ミーメが登場すると断言されたこの作品は、『エメラルダス』と『999』と『ハーロック』(この場合はTV版じゃなくて原作コミック版)を繋ぐ重要な作品のはずなのである。
ところが放映された作品はどうだろう? 放映打ち切りとはいえ、メーテルもファウストもミーメさえ登場せず(劇場版から引き続き登場しているラ・ミーメはミーメの妹という設定で、シリーズ後半では姉と交替するという展開が考えられていたようだ。またメーテルは1話にシルエットのみ登場)、あまつさえエメラルダスとも結ばれずに一人死んでゆくトチロー。これでは『999』(映画版のほう)にさえ繋がらないではないか。原作コミックそのものとは元々矛盾点があるので致し方ないとしても、せめてアニメ版同士くらいはきちんと整合性をとってもらわねば・・・。
他にもファンに不評の部分が結構ある。一例をあげるなら有紀蛍の設定。ハーロックに想いを寄せる姿は、やはり従来のキャラクター・イメージとは異なる。しかもキャストを麻上洋子へ変更したことも。TV版『ハーロック』で蛍を演じた川島千代子は、チョイ役だった『さよなら999』でも蛍を演じていた。ならばここへきての配役変更は納得いかない。せっかく登場したドクター蛮も、設定上ではメーテルの父ドクターバンと同一人物とされているようだが、結局その謎は明かされずじまい。これではファンからソッポを向かれても致し方ないのではなかろうか。放映前にファンに約束した部分は、殆ど描かれなかったのだから。それでも近年の松本ユニバースの混迷ぶりを見ると、これらの矛盾点も可愛いものに思えてきてしまうのが寂しくもある。当時のあの「熱い」ファンの想いは何だったのだろうか、と。

ただこの作品を、松本ユニバースのリンクという呪縛から離れた独立した一個の作品として見た場合、単純に失敗作、駄作とは呼べまい。
かつての己の分身・デスシャドウ号との戦いにおいてギリギリまで追いつめられるハーロックや、そのデスシャドウ号艦長として登場するベンツェルと娘レビとのやりとりを描いた連続ストーリーや、宇宙へ出たいと痛烈に願っている少年とその母親の物語など個々のエピソードの完成度や、荒木伸吾、小松原一男、富沢和雄、影山楙倫をはじめとした豪華な作画監督を揃えた安定した作画など見るべき点も多い。
キー局がキー局なだけに再放送に恵まれず、ビデオやLDで全話がリリースされていてもさほど浸透していない現状ではあるが、そろそろ再評価すべき時なのではないかと思う。
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