日曜の朝からお子様のみならずお母さま方を熱狂させている『仮面ライダー龍騎』がゴールデンタイムに進出。ＴＶシリーズとは一線を画したパラレルワールドを舞台にしたアナザー・ストーリーで、劇場版が「最終回の先行公開」ならばこちらは「もう一つの第一話」。シリーズに先駆けての１３人ライダー勢揃いがウリである。
初めて『龍騎』を見る人でもＯＫ、毎週見ている人にはニヤッとする仕掛け、ということになっていたのだが、その出来映えはかなり疑問符。シザース、ガイ、ライアら既に死んでしまったライダー達がまた元気な姿を見せてくれるのはレギュラーシリーズを応援してきた人たちには嬉しいだろうが、「話題になってるみたいだからちょっと見てみようか」とチャンネルを合わせた人にはすこぶる不親切。世界観の説明もなくキャラクターが右往左往してるだけで、これでは詰め込み過ぎの消化不良と言われても仕方がない。昨年の『仮面ライダーアギトスペシャル』もかなり内容が破綻しながらも、なんとかレギュラーシリーズのサイドストーリーとして楽しむ余地があったのとは大違いである。
地上派初のマルチエンディング方式を採用！というのも効果があったのかどうか。これは結末を二通り用意しておき、オンエアー中に視聴者の投票によってどちらになるかを決めるというものだったが、それまでの物語の転がり具合からしてどちらを選んでも決定的な差になりそうもないと思わせてしまったのは問題だろう。しかもこれが主人公の決断にだけ反映するだけで、実際のドラマ自体には決着がつかず途中で終わるのだから始末が悪い。このスペシャルだけ見た人が、じゃ今週からレギュラーシリーズを楽しめるかというとまず無理だろうし。ライダー１３人入り乱れてのバトルロワイヤルというよりも、龍騎（と途中からナイト）が他のライダーに集団暴行を受けてるかのような後味の悪い映像しか印象に残らないのもこの時間帯に相応しい映像かと問われると答えに窮する。そもそも「ライダー同士殺し合う」という基本設定の中で、何故龍騎を倒すためだけに他のライダーが団結する必要があるのかが得心いかないのだ（ゾルダと王蛇が手を組むかねぇ）。スタッフの情熱が空回りした怪作ってことで・・・。

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