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劇団ピスタチオ 「破壊ランナー」
投稿日 : 2000/12/20 01:12
投稿者 新木 滋
参照先
 劇を見るのは嫌いじゃない。しかし、取り立てて好きな劇団があ
るわけでもない。ピスタチオとキャラメルを除いては。
 劇団ピスタチオ。西田シャトナーが率いていた、肉体派演劇集団。
雷や風といった自然現象から、植物や動物、さらには壁やミサイル
まで。基本的に小道具大道具を使わず、ありとあらゆるものを肉体
で表現してみせる彼らの舞台は、文字通り熱気と汗がほとばしって
いる。最近になって解散してしまったが、実に残念なことだと思う。
 先日、「破壊ランナー」のビデオを見た。昨年、数人のメンバー
を欠いて再演されたものではなく以前の、黄金メンバーでのもので
ある。

 時は2707年、人々はソニックランなる見せ物に熱狂していた。ソ
ニックランとは人間の肉体のみを使った超音速レースの名称で、そ
のトップランナー、豹次郎ダイヤモンドが物語の主人公だ。
 まだ若手であった頃から、彼は常にチャンピオンだった。自分の
前を行く者は一人としておらず、タイムの短縮だけが成長の証だっ
た。だが、年を重ねるごとにその伸び具合は小さくなって、やがて
はすっかり止まってしまった。
 豹次郎は、走る情熱を失いかけていた。そしてあるレースにおい
て、ついに戦いを放棄する。連盟の咎により出場停止となった彼の
心情を、周囲の者達は理解できない。常に側にいた恋人すらも例外
ではなく、共に暮らした部屋を去る。
 そんな彼の前に、一人の男が現れた。急激に勢力を拡大しつつあ
るチーム「アロイ」のオーナー、黒川フランクである。
「うちに移籍するならば、さらなるタイムアップを約束しよう」
 そんな誘いを、しかし豹次郎ははねつけた。彼は知っていた。自
分をより速く走らせることができるのは、チームや金ではないこと
を。しかし、知らないこともまたあった。黒川本来の目的は、レー
スでの勝利などではなかったのである。

 稚拙な粗筋ではあるが、導入部の概略はお分かりいただけたので
はなかろうか。ここまで進行するうちに、役者さんは汗びっしょり
になっている。その勢いたるやすさまじく、汗がモニターのこちら
まで匂ってきそうだ。そして、満載のギャグではらわたはとっくに
ねじれ返っている、はずである。それがこの後、一時間あまりに渡っ
て続くのだ。そして最後にしっかりした、見せるエンディングが待っ
ている。「破壊ランナー」に限らず、これがピスタチオの舞台共通
の魅力と言えよう。百聞は一見にしかずという。ピスタチオのビデ
オを入手する機会があれば、ぜひ一度ご覧あれ。
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