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「テクノスケープ」
投稿日 : 2010/06/18 17:35
投稿者 久保田r
参照先
<収録建造物>
TecnoScape1:コンビナート
TecnoScape2:風力発電
TecnoScape3:ダム(滝沢ダム/宮ケ瀬ダム/浦山ダム/黒部ダム)
TecnoScape4:宇宙電波天文台
TecnoScape5:立体交差
TecnoScape6:送電線鉄塔
TecnoScape7:都市
TecnoScape8:コンビナート
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Re: 「TecnoScape」
投稿日 : 2010/06/18 17:41
投稿者 久保田r
参照先
 テクノスケープ。人工的空間風景。地上に存在する人工建造物の数々を、穏やかに静かに見守るがごとく撮影しているDVD。

 この手のDVDは、先に「工場萌えな日々」を見ているが(レビュー:http://chaos-i.com/review/video/patio.cgi?read=106&ukey=0)、自然の中にそびえ立つこれらの人工的な建造物は、あまりにもサイズが巨大で、それを造った人間すらも安易には内部へと踏み込ませないような特殊な存在感を覚える。中でもコンビナートは、それらの集合体であり、海や川の側、山の中、平原といった広大な自然の中に存在しながらも、決して自然とは融合しない風景としてそこにある。自然が作り出す風景の中にそびえ立つ人工的空間風景。それは、人間の生み出した美でありエゴなのか…。開放的な気分の自然の風景とは違い、心の奥にちくりとした切なさと憂いを感じる人工的な風景の数々が収録されている。

 始めと終りにコンビナートの映像を時間をかけてたっぷりと収録してあり、間に風力発電やダム、立体交差、送電線鉄塔といった日常生活で見かける建造物があり、中には宇宙電波天文台といった非日常的な建造物の映像が入っている。圧倒的な存在感のコンビナートと対照を成すようかのような風力発電の映像は、羽根が風の力を受けて優雅に回っているのが印象的。しかし、遠くからでも見上げるほどの大きい羽根は紛れもなく人工的建造物であり、規則的に並んでいる姿に人間の意図といったものが感じられる。

 ダムは、人間が自然をコントロールするための代表的な建造物。意図的に水を蓄え意図的に放流するその建造物には、「静」と「動」が同居しており、もの凄い勢いで放出される水の激しさには魅入られるパワーがある。対して宇宙電波天文台と送電線鉄塔には「静」のみが感じられ、黙然とただそこにあるがままの姿を、こちらもただじっと眺めるだけの静かさ。

 立体交差と都市の映像は、上へ上へと作り上げられた都会ならではの建造物が映し出されている。人間よりも遥かに大きく高く、立体的な建造物の上を行き交う車と輝く光。これぞまさしく人工美で、人間が作り上げた街の中で生活する人々の行動が、光の軌跡となって無機質な映像の中で「動」を表している。夜の首都高を走る車の中から撮影した映像と、同じく夜の街中の交差点を捉えた映像が、早送り再生となっていて綺麗。

 映像の全体の作りは、癒しを感じる音楽に乗り、スライドショーのように次から次へと映像が切り替わっていく構成。スロー再生された映像は、あたかも映画のイントロダクションのようなストーリー性を感じる映像となっていて、ゆったりとした時の中に佇む人工建造物を心ゆくまで見ることができる。穏やかな音楽とゆるやかな映像という組み合わせにより、まるで環境映像のようだが、そこに映し出されているのは人間が作り出した建造物であり工場地帯。工業製品に囲まれた生活を送っている現在では、工場地帯の存在は日常のものであるが、煙突から吐き出されている煙が風にたなびいている「人工的空間風景」は、自然との調和や環境について今後どうあるべきなのかということについてふと考えさせられる。
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