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「ほしのこえ」
投稿日 : 2005/12/22 16:16
投稿者 久保田r
参照先
2002年4月19日
自主制作映画。第1回新世紀東京国際アニメフェア21などの幾つかの賞を受賞。

 中々良く出来ている作品。自主制作ということで、監督個人の思惑を越えたエンターテインメント性というのは薄いが、伝えようとしていることは込められている。現在は、数多のアニメーション作品で宇宙ものが描かれ、時間軸などは地球時間に合わせて動いているが、この作品は、何万光年と離れた彼女と地球で暮らす彼の「時間のズレ」が大きなテーマ。国連宇宙軍に選抜され遥か宇宙へ行くことになったミカコと地球で暮らすノボルの時間のズレ。ミカコの乗る宇宙戦艦はワープを繰り返し、携帯のメールの受信が何年もかかるようになる。15歳のミカコが宇宙から送るメールは、24歳の地球のノボルへ届くという時間のズレ。それでも”僕は私はここにいるよ”という作品。

 描かれているのは2048年という近未来の設定で、果たしてその頃に宇宙にいる人間と携帯電話のメールのやり取りが出来るのかどうかといったリアルなことは分からない。リアリティに関して言えば、ミカコがいつも学校の制服のままで戦闘ロボに乗っているなど、必要性やリアリティさが誠に薄い作品だが、精神的なリアルさを映像化するという点では分かりやすい。大切なのは、監督が描こうとしている精神的な「萌え」であり、それを宇宙戦艦、戦闘ロボ、学校の制服というビジュアル的な分かりやすさで映像化している。

 この作品には、モノ作りにおいて最も大切な「萌え」がきちんと込められている。萌えがなくては、モノ作りの持久力は続かないし、やり遂げる達成感もない。この作品を見ると、自分の中の萌えが刺激され、自分もやらなくてはという気になる。何かを成し遂げる大切な気持ちがこの作品には十分に込められている。

 本編25分という長さなので、起承転結を踏まえた作品というよりも詩情的な作品。各シーンも印象的に綺麗に描かれているし、音楽も気持ちが良い。登場人物の声は、声優版と制作者自らが声を吹き込んだオリジナル版があり、どちらを好むかは見る人それぞれだが、より身近な「萌え」を受けられるのはオリジナル版だと思う。しかし、作品を作品として捉えて見るなら声優版。同時収録の「彼女と彼女の猫」も全編モノトーンで詩的に描かれていて、これも「萌え」が刺激される作品。両作品ともモノ作りの初心が温かく伝わって来る作品となっている。
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