2004年3月3日　ポニーキャニオン

＜収録演目＞
「パリにて」
「老婦人」
「大家族 大晦日編」

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　久々にイッセー尾形の一人芝居を見たけれど、確実に上手さが増している。人間観察の鋭さと洞察力が非常に深く、絶妙な笑いを作り出している。それとも見る側の私が齢を取ったのでイッセー尾形の良さが今更ながらに分かったのだろうか。いいや、確実に着実に芝居に磨きをかけているのだと思う。私が覚えている過去の芝居よりもずっとぐっと奥が深くなっているように思う。

　収録されているのは、3作品。「パリにて」は、お年寄りの男性に扮していて、ツアーで訪れたパリで、同じツアー客の新婚旅行カップルと相席になるという設定。実はこの新婚旅行カップルが訳ありで、ダンナが別れた昔の恋人と会うので、その立ち会いを頼まれるというもの。日本ではなく、パリが舞台となっているのがこの作品のツボ。人生経験のある味のある男性を演じている。

　「老婦人」は、小綺麗な衣装を着て、品の良い老婦人に扮している。舞台上に小道具らしきものは全然ないが、どこか人の集まる場所で若者と会話をしているというのが分かる。老婦人の特徴をよく捉えていて、老婦人と会話をしている若者のちょっと困ったような表情まで窺える素晴らしい芝居。芝居の終りのシュールな締めが効いている。

　DVDのタイトルともなっている「大家族 大晦日編」が、最高に面白い。女房に逃げられた子だくさんの親父に扮していて、舞台上にあるのは椅子一つのみなのだが、たくさんの子供たちとドタバタとしているのが手に取るように分かる。芝居のテンポも良く、母のいない侘しさも芝居にメリハリを与えていて、あっという間に見ることが出来る。おすすめの芝居。大晦日の定番、紅白歌合戦について子供たちとする会話が楽しい。

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