アニメソングの地位向上に非常な貢献のあった『宇宙戦艦ヤマト』のエンディング・テーマ。
劇中でもヤマト乗組員たちが地球に別れを告げるシーンなどの使用。メロディーと歌詞が渾然一体となって場面を盛り上げていた。
ところが詞を書いた阿久悠は、出来上がってきたメロディーを聴いて「これがオレの書いた詞か？！」と愕然となったというエピソードが伝えられている。なんでも西部劇の『黄色いリボン』を意識して作ったらしいのだが、今となっては「黄色いリボン」調の「真赤なスカーフ」なんて想像したくもない・・・。

編集

切ない曲です

編集

真っ赤なスカーフはわたしが学校で先生に聞いたきょくでした。きいてみたいのできました。

編集

いわずと知れた「宇宙戦艦ヤマト」のＥＤにしてシングルのＢ面。しかし、両Ａ面としての価値は十分にある佐々木功氏の代表曲である。
アニソンのＥＤがバラードというのは、何もこの作品が初めてではないのは周知の通りである。なのに、何故この曲がこれほどまでに人々の心を捉えたのか？
おそらくそれはラテンムード風味のコンチネンタル(大陸的)なポピュラーソングを下敷きにしているという点であり、これ故にまさに昭和歌謡の伝統をも踏襲している点にあるのだろう。 沿革的に言えば、イスラム文化との混血であるスペイン音楽が、中南米でアフリカ音楽と融合してラテン音楽が形成される(タンゴ・ルンバ等)。その中でもタンゴは隆盛と洗練を極め、再度ヨーロッパへ輸出される。これがコンチネンタル・タンゴだ。また北米のジャズもヨーロッパへ輸出された。 またラテン系の血が濃いフランスにはシャンソンの伝統がある。 こうしたヨーロッパ音楽は第二次大戦前後にまたまたアメリカに輸出され、白人によるスタンダード・ジャズ・ボーカルも全盛を迎える。
日本はというと、戦前にはスウィングジャズ、ヨーロッパ音楽等の受容と共に、移民の関係で南米ラテン音楽も受容し、そこに日本古来の民謡もミックスして「ジャズ歌謡」を始めとする昭和歌謡を発達させる。これは戦後は更に加速し、とりわけ「トリオ・ロス・パンチョス」を始めとする南米ラテン音楽の影響は大であった。
さて、肝心の「真っ赤なスカーフ」であるが、ピアノで演奏されているがリズムはまさにラテンバラードである。ラテンの名曲「ベサメ・ムーチョ」、元シャンソン曲でビング・クロスビー等によってカバーされたラテン風バラード「ドミノ」などを聞いて欲しい(「ドミノ」は最近、井上陽水がカバー)。共通したフレーバーが聞き取れるはずだ。
宮川泰氏の音楽的背景が、かような要素に裏打ちされていることは容易に理解できる(「ザ・ピーナッツ」におけるヨーロピアン・ポップスとの関わり等)。阿久悠氏が当初想定していた「黄色いリボン」的音楽 = カントリー/フォークという泥臭さではなく、(古賀メロディに代表される)昭和歌謡の哀愁路線を踏まえながらも、ラテンとはいえ"白人のフィルター"を透した「垢抜けた」"大陸風"音楽で料理されたことが、この曲を不動の「スタンダード」にした最大の要素と言えると思う(菊池メロディとの違いである)。この曲はスパニッシュギターで「ムード音楽」または「ボサノバ」風に弾いてもちゃんと"その音楽"になるはずである(もちろんジャズでも^^)。
ささきいさお氏のボーカルは、 60年代にスタンダード曲に接近したプレスリーの「さらば故郷/WOODENHEART」のような色っぽい大人の雰囲気だ(この歌も別れがテーマのドイツ歌曲。佐々木氏はシナトラを始めスタンダード・ボーカルもお好き)。必要以上にタメやこぶしを入れず、むしろ日本人離れした低音の艶やかさで勝負する佐々木氏のボーカルが、ここでも活かされている。同じバラードでも「新田洋」氏が歌ったら、情感濃すぎて単なるムード歌謡/演歌になってしまうだろう。この歌は朗々と歌ってもクサくなる。
「宇宙戦艦ヤマト」で言い忘れたこと１つ。1973年１月に「エルビス・イン・ハワイ」が衛星放送された。そこでプレスリーは故ジョージ・ハリスン氏の「サムシング」を唄った。そこでは、キャシー・ウェストモーランドというソプラノ歌手によるスキャットが添えられていた。和製プレスリー「佐々木功」氏が主題歌を唄った「宇宙戦艦ヤマト」放映は1974年である。

編集