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「傷だらけの翼」
投稿日 : 2001/12/24 01:19
投稿者 梶原正義
参照先
「傷だらけの翼/名も知らぬ星」

作詩:長坂秀佳/作曲:ささきいさお/編曲:高田弘

1978年にNHK連続ラジオ小説『火の鳥 鳳凰編』をアルバム化した際に、先行シングルとして発売されたもの。
"作曲家"ささきいさおの第二弾である。今回は作詩を"脚本家"長坂秀佳にお任せ。作曲のみに専念している。作品世界が世界だから歌詞も曲調もマイナー調にして民謡調である。こうして並べて聴いてみると、ささきいさお氏には意外と民謡が体に染み込んでいる音楽なのかもしれない。まぁ生まれた時代や環境を考えれば納得いくが。
"歌手"ささきいさおという面では、さすがにご自身で作曲し、かつそれに専念しただけあって、氏の持つ音階に合ったメロディだし、歌詞もお得意のメッセージ性の強いものだから、難無く歌いこなしているし、かつ気合の入ったものになっている。
アレンジは高田弘氏が担当。これも作品世界に合わせ民謡調に仕上げている。
しかし、多少オーバーアレンジの嫌いがないでもない。
「傷だらけの翼」に関してはイントロの尺八も含め民謡調の色彩がより強い。他方「名も知らぬ星」に関しては力強さを出すことに意識があるような印象だ。
決して悪くはないのだが、そのどちらもが何かこうボリューム・オンリーで大味な印象がある。どこかよそよそしくアレンジが勝手に無理して頑張っているような感じがある。歌やメロディを立てているような部分が希薄なような気がして仕方がない。
作品のテーマが雄大であるから仕掛けも大きくということなのかもしれないが、本作品は過去・現在・未来を超えて連なる壮大な生命のドラマの一幕なのであるから、もう少しそういう側面、例えば「輪廻転生」といったテーマを汲んだアレンジをして欲しかった。大掛かりな割りには深みや広がりが欠けていると思う。どちらかと言うと登場人物の私的な世界と歴史的世界にのみ焦点をあてた感じだ。
何故そうなったか、いろいろ詮索しようと思えばできるが、無粋なのでここでは止める。
そんな訳で、申し訳ないがここでも演奏と歌の絡みがあと一歩足りない感じだ。もちろん水準以上であることは申し上げるまでないことなのだが、今まで120点の出来の作品を聴いてしまっている我々の耳からすると、つい採点が辛くなってしまう。
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