昭和52年8月20日　(株)角川書店　角川文庫
平成17年1月25日　改版初版発行

　寺山修司が選んだ名言集。映画あり、歌謡曲あり、文学作品ありと、幅広い分野から選択されている。

　映画からの名言には、一つずつ解説が付いている。全部が古い映画なので、見たことがないものばかりだが、この解説により寺山修司の映画レビューも併せて読むことになる。一粒で二度おいしい映画名言。

　中には、「無名言」というのもある。やくざが使う隠語が記されていて、これには一言ずつに解説は付いていないが、羅列された文字を見るだけでもドキドキする。それが隠語の持つ力なのだと思う。

　最後には、自身の名言で締めくくり。「他人の言葉ばかり扱っていると、自分でものを言いたいという衝動が、押さえきれなくなる」と前置きしていて、自身の作品から選択した名言を数十篇掲載している。精力的に活躍した文化人らしいアピールさ。

　1ページ目から順番に読むのではなくて、ふとした空き時間にパラパラと読むのに適している。『ポケットに名言を』。まさにタイトル通りの一冊。

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