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「大奥の美女は踊る/徳川十五代のお家事情」 雲村俊慥
投稿日 : 2007/02/03 16:32
投稿者 久保田r
参照先
2007年1月5日 PHP研究所

 これはとても読み応えのある本。十五代将軍が全て登場し、その時の正室、側室、社会の動きなどが分かりやすく要点を摘んで書いてある。こと大奥の本というと、大奥で起きたことのみに焦点を当てて書いてあるのが多いが、その大奥も社会の動きに合わせて変化していたことがこの本でよく分かる。一見、井戸の中の蛙に等しい大奥だが、社会との接点を一切断っていたのではなく、数少ない外出の機会を狙っては、様々な事件を起こしている。そうして起こる事件が大奥内に刺激を与え、時代と共に変化していき、そしてもちろん継承する将軍によってはそれまでのことが180度転換するような騒動もあり、大奥は、将軍というたった一人の男性の為と時代の変化に合わせて徳川家と共に生き続けた。

 歴代の将軍がもたらした大奥の変遷を歴代の将軍の素行と共に読むことができるので、歴史についてもざっと振り返ることができる。それも大奥という将軍の私生活に関わる部分から触れた歴史なので、堅苦しくなく興味深い。女性に振り回される将軍、将軍に振り回される女性たちなど立場は時代により様々。この本を読むことにより、何代目の将軍が私生活にだらしがなかったかとか、心がけが立派だったとかそういったことが分かる。こういった角度からの歴代将軍の考証も面白いと思う。

 将軍が奥泊まりをする際の一連のしきたり(正室バージョンと側室バージョンがあり)や、将軍継承時のいざこざ、歴史に名を残した女性たちのエピソードなど興味を引かれる話題がたくさん載っている。この本は、時代劇を見る際などに一冊あると便利な裏江戸時代考証本だと思う。
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