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「イーハトーブ釣り倶楽部」 村田久
投稿日 : 2007/01/03 15:33
投稿者 久保田r
参照先
2001年1月1日 (株)小学館

 「今日もぶらりフライフィッシング散歩」というサブタイトルが付いている「釣り」のエッセイ集。1942年北海道に生まれ、岩手県一関市に住む作者が、1993年〜2000年まで『Fly Fisher』(つり人社)という雑誌に掲載していたエッセイをまとめたもの。

 私は釣りをしないし、興味もないのだが、私と同じように釣りに興味のない主人が、何故だかこの本を買って読んでいたので、そんなに面白いのかと読んでみた本。読んだ後の感想は、さらりとした読後感が好印象の渓流の爽やかさが伝わってくるエッセイ集。

 綴られている27編、すべて岩手の川。岩手の釣り好きの人ならば川の名前を見るだけでそこの風景が浮かぶだろうし、県外の人においても書いてある内容を読むうちに身近な川と風景が重なることと思う。山間を流れる渓流の風景というのは、土地ごとの細かな相違はありこそすれ、おおまかな印象は同じであると思うので、渓流釣りならではの嬉しさや憂えることや醍醐味といったものが共感できることと思う。

 釣りをしない人にとっても、この本は川を通じて岩手の自然を感じるのに丁度よい本。さらっとした文章が、作者の考えを決して押し付けがましくなく、見たままの情景で綴られている。護岸工事で濁った川や、川の主の存在、立ち入り禁止区域で出会った土地の人のことなど、作者が見たまま感じたままが綴られている。釣りの専門用語もちらほらと登場するが、あくまでもエッセイの主体は「川」と「魚」。天気の良い日、ふと川でも見に行ってみようかという気分になる本。
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