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「日本一心のこもった恋文」 秋田県二ツ井町・編
投稿日 : 2005/12/16 13:03
投稿者 久保田r
参照先
1995年2月14日 日本放送出版協会

 恋心を綴った文章…それが恋文。そんな恋文(日本一心のこもった)が集まっている本ならば、さぞかし感動出来るのだろうと期待してページを開いた。しかし、期待した思惑とは少々主旨の違う中味であることが読んでいくうちに分かった。私が想像していたのは、各々貰った恋文を披露しているのかと思ったのだが、そうではなく、これは秋田県二ツ井町が主催した「恋文コンテスト」であり、掲載作品はそのコンテストで入賞した、広く一般的に見られることを前提とした恋文集であることが分かった。この事実が分かった時には正直肩を落としたが、それでも、元来私的文章の極地である恋文がこうして1冊の本にまとめられるのは、あり得そうであり得ない稀な企画であることは確かだと思う。

 恋文に順位を付けるのは野暮なことだと思うが、これはそれを承知で応募して来た恋文の数々なので、大賞作品や優秀賞作品には、読ませる恋文が多い。中でも戦争で死別した夫への恋文は、残された者の想いが込められている。道ならぬ恋の相手への恋文や、若かりし頃の憧れの君への恋文など密やかな思いを綴った恋文もあり、これを送った作者の背景などが垣間見える恋文もある。感動して泣けるような恋文集ではない。しかし、様々な立場の人が様々な環境のもとに様々な思いで書いた恋文たちが集まっている。
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