「英仏百年戦争」 佐藤賢一
投稿日 | : 2005/11/24 05:37 |
投稿者 | : Excalibur |
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シェークスピアが『リチャード二世』や『ヘンリー四世』、『ヘンリー五世』、『ヘンリー六世』の題材にしたり、黒太子エドワードやジャンヌ・ダルクといった英雄たちの活躍は知ってはいるものの、<英仏百年戦争>と言われても今ひとつピンとはこない。世界史の授業では大まかな動きだけをサラッと流しているケースが多いみたいで、全体像がほとんど見えてこないせいもあるのだろう。あとは、獅子心王リチャードの時代とされるロビン・フッド伝説は、これの前史にあたるんだなぁという程度の認識しかない。
で、この本を読んで目から鱗! 学術的な研究書ではなく、小説家の視点で歴史的な流れを解きほぐしているので、下手な参考書よりもわかりやすい。
一般的に言われているよりも遥かに以前からの抗争の延長線上にあるということは、これは<百年戦争>などというレベルではない。巻末の関連年表は1066年のヘイスティングの戦いから、1491年のフランス王シャルル八世とブルターニュ女公アンヌとの結婚まで取上げているが、これでは<四百年戦争>だ?!
しかも両国の玉座を争っていたのはどちらも「フランス人」。そもそも現在の感覚でいうところの「イギリス」はおろか、「フランス」も成立していなかった時代のこと、<英仏戦争>でもなかったわけだ。イングランド王ウィリアム一世が実はノルマンディ公ギョームで、ヘンリー一世がアンリ一世で・・・とこういうの、日本人としては苦手だなぁ。