トップページ > 記事閲覧 
「ハイパーウエポン2009/宇宙戦艦と宇宙空母」
投稿日 : 2010/10/21 17:49
投稿者 久保田r
参照先
「モデルアート艦船模型スペシャル別冊 西暦弐千弐百弐拾年版/HYPERWEAPON2009 2009年12月号」
2009年11月26日 モデルアート社

 2009年12月公開『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』の副監督でありメカデザインを担当した小林誠氏による『復活篇』のためにデザインしたメカの設定画がおよそ9割、残りの1割は「新宇宙空母ギャラクティカ」の設定画が収録されている雑誌。

 「モデルアート艦船模型スペシャル別冊」という雑誌の位置付けでありながら、その実は、ほぼ『復活篇』のロマンアルバムならぬメカアルバム。この内容にキャラクター設定資料集とストーリーのフィルムコミックが加われば、完璧なロマンアルバムの完成と言えるほど、『復活篇』に登場するメカが精細にぎっしりと詰まっており、「ヤマト」という作品の大きな魅力の一つであるメカデザインを、小林誠氏の解説付きで心ゆくまでたっぷりと堪能できる一冊に仕上がっている。

 表紙を大きく飾るは、『復活篇』の冒頭に登場する宇宙空母ブルーノア。艦体の青と流れるようなラインが特長の大きくも美しい艦。その下に艦載機コスモパルサーの絵があり、両者の間に控えめに薄いカラーで『復活篇』デザインのヤマトが描かれている。ほぼ『復活篇』のメカで占められている内容ではあるものの、この冊子の本来意味するところは”小林誠氏の仕事紹介”であるので、その点に配慮をし、一目その姿を見るだけでこの冊子が「ヤマト」の本であるというインパクトを与え過ぎる主役のヤマトの絵を控えめに、それでいて「ヤマト」と深い繋がりのあるブルーノアとコスモパルサーの絵をメインとすることで、『復活篇』に登場するメカの奥行きの深さと細かい部分への心配りが表れている綺麗な装丁の冊子となっている。

 本誌に登場するメカは、『復活篇』ヤマトのデザインを始め、ヤマト艦内各部署、6連波動エンジン、アクエリアスドック、コスモパルサー、重爆撃機、コスモゼロ2220 Type21、主力戦艦、アンドロメダ級戦艦、貨物船”ゆき”、ブルーノア、信濃、移民船、SUS星間国家連合、アマール戦艦などなど。設定画稿を網羅しているだけあって初期段階の線画から完成した美しい絵までが掲載されてあり、細かなデザインの変化や、1993年時のデザインとの相違、果ては1988年シド・ミード版ヤマトまで、2009年公開の『復活篇』に至るまでのメカデザインの道のりをつぶさに鑑賞できる内容となっている。

 小林誠氏による解説付きではあるが、字の大きさが小さく、また字を読ませることを目的としたレイアウトではないため、はっきり言って読み難い解説。だが、メカに限らずこういったデザインものは、その絵を眺めて感じ取ることが鑑賞のメインであると思うので、細かな字の解説は時間のある時にじっくりと読むこととして、大きな紙面にぎっしりと描かれてある絵を眺めるだけで小林誠氏のセンスを感じ取ることのできる中味であると思う。

 メカのみとはいえ、この冊子は、見る者の創作意欲を掻き立てるに十分な内容。中でもシステムごとデザインしたコスモパルサーは圧巻。これまでのヤマトは、艦載機格納庫については曖昧に描写されていたが、ドラマありきの「ヤマト」であったためにそれで良かった。だが、『復活篇』では、宇宙空間に出撃するというリアルさが加味され、「ヤマト」に於ける新たな格納庫システムが披露された。これにより、また新たな魅力がに加わったことは確か。誕生から35年を経た「ヤマト」。だが、まだまだファンの創作意欲を惹き付ける魅力のある戦艦であることが、この冊子から十分に伝わってくる。

記事編集 編集
件名 スレッドをトップへソート
名前
メールアドレス
URL
画像添付


暗証キー
画像認証 (右画像の数字を入力) 投稿キー
コメント





- WEB PATIO -