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「5分ですっきり読める聖書物語<旧約篇>」 阿部包:監修
投稿日 : 2011/05/20 16:14
投稿者 久保田r
参照先
2011年3月20日 成美堂出版

 旧約聖書に焦点を当て、天地創造から王国の分裂までのエピソードを5分ですっきりと読めるように解説している本。内容は、第1章の「聖書ってどんな本?」に始まり、第2章「天地創造と人の誕生」、第3章「イスラエルの民を導くモーセと英雄たち」、第4章「イスラエルの王制時代」、第5章「王国の分裂」、第6章「預言者とそのほかの物語」まで。

 第1章の「聖書ってどんな本?」の項目にて歴史年表が記され、旧約と新約の違いについての説明もあり、おおまかなキリスト教の仕組みと、それに付随して旧約聖書に由来する宗教(ユダヤ教、イスラム教)についても知ることができるため、私のような初心者にも入りやすくそして易しい書き方となっていて読みやすかった。第1章では、天使と悪魔の説明もあり、聖書=ファンタジー色濃い物語…というイメージが付いたところで、第2章の「天地創造と人の誕生」へと繋がる。

 聖書で最も有名なのは、第2章の「天地創造と人の誕生」ではないかと思う。神が6日かけて天地創造をし、7日目には休んだという話や、神がアダムを作り、アダムの肋骨からイブを作った話、アダムとイブが禁断の実を食べて楽園追放となった話などなど。このアダムとイブが楽園追放となるまでは、神の作った世界にもまだどこかのほほんとした空気が感じられるが、アダムとイブの二人の息子のカインとアベルの時代以降は、にわかに怖い空気が漂い始める。人類最初の殺人、ノアの箱舟、バベルの塔、ソドムとゴモラなどなど、神の怒りによる”滅び”が繰り返され、なんと神は辛い試練ばかりを課すものか…という話が続く。

 第3章の「イスラエルの民を導くモーセと英雄たち」までは、万能である神が絶対の存在感でもって君臨しており、海を割ったというモーセのエピソードや、十戒など、常に神の言葉と存在が示されてあるが、第4章「イスラエルの王制時代」に入ると、神の存在はあるものの王制となったために、物事の決め事や行動の中心が人間となり、戦の絶えない時代へと突入する。異教徒との戦い、勢力争いが繰り返され、遂に王国は分裂し、混沌とした世界へと。この争いに次ぐ争いの話を読み続けていると、宗教とは戦いの歴史であるという思いが生じるが、現在の社会に於いても争いが絶えないことを考えると、宗教とは人にとって何ぞや?という大きな疑問が沸いてくる。

 そうした思いを抱え、第6章の「預言者とそのほかの物語」を読むと、少しほっとした気分になる。再び神の存在感が濃くなっており、神の言葉を預かる預言者のエピソード、女性の英雄の話、理想の嫁・姑の話、神と悪魔に試されたヨブの話などなど、最後に聖書らしい話をいくつか読んだところでこの本は締めくくりとなっている。

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