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「聖書の名画はなぜこんなに面白いのか」 井出洋一郎
投稿日 : 2011/11/15 16:12
投稿者 久保田r
参照先
2010年2月1日 (株)中経出版 中経の文庫

<収録内容>
第1章「旧約聖書の物語」
天地創造からアダムの創造へ/エヴァの創造、原罪と楽園追放/ノアの物語/バベルの塔/ソドムの崩壊/イサクの犠牲/ヤコブからヨセフへ/モーセの物語1/モーセの物語2/サムソンとデリラ/ダビデの物語1/ダビデの物語2/ソロモンの物語/ユーディットの物語/スザンナの物語/

第2章「マリアとキリストの物語」
マリア伝1 無原罪受胎/マリア伝2 受胎告知/マリア伝3 キリストの降誕/マリア伝4 聖アンナと聖母子/マリア伝5 聖母子像/マリア伝6 ピエタ/マリア伝7 死、被昇天、戴冠/キリスト伝1 洗礼/キリスト伝2 試練、召命、奇跡/キリスト伝3 世俗との闘い/キリスト伝4 最後の晩餐/キリスト伝5 ゲッセマネの祈り/キリスト伝6 逮捕から刑場へ/キリスト伝7 磔刑と埋葬/キリスト伝8 復活から昇天へ/最後の審判

第3章「聖女、聖人の物語とアレゴリー」
キリストの弟子 ペテロとヨハネ/キリストの弟子 マグダラのマリア/サロメの物語/聖カテリーナと聖マルガリータ/聖アントニウスと聖セバスティアヌス/聖フランチェスコ/アレゴリー1 死とヴァニタス/アレゴリー2 怠惰と慈愛/図像学 絵を「読む」楽しみ

参考図書案内/本書中のキリスト教・美術用語/イエス時代のイスラエル・当時のエルサレム市街図/旧約聖書・新約聖書の構成と内容

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Re: 「聖書の名画はなぜこんなに面白いのか」 井出洋一郎
投稿日 : 2011/11/15 16:14
投稿者 久保田r
参照先
 ゴッホ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、レンブラントなどなど…西洋美術に多く描かれる聖書の名画についてわかりやすく解説している本。

 西洋の美術は、絵画や彫刻をはじめとして聖書にまつわるものが多く、ヨーロッパ諸国の教会には天井や壁にたくさんの天使像と聖人像が描かれた絵が多く、一見何の変哲もない生物画にも聖書の教えが込められているなど、なかなかに奥深い意味合いを持った作品が多数存在する。そういった絵や美術品の見方や読み方を解説しているのがこの本。

 そもそも聖書画とは、遥か昔に文字を読めない人びとに対して絵で示して教えたのが始まりとのこと。そのため、場面を描いた図像が多く、挿絵のような存在として使われ、そして広く人びとに広まっていったという流れ。そういった経緯から教会に絵画が多いというのも頷けるというところ。

 そのようにして聖書の教えが広まっていったのが絵の力によるところが大きいため、各時代の画家たちは聖書画を描いては、多くの名画を生み出してきた。時代の流れにそってしだいに識字率が上がり、徐々に聖書画の役割が変化していき、現代では、絵を「読む」から「視る」時代へと変わって行った…というような内容のことが、名画の紹介とともに解説されている。

 名画の解説といっても堅苦しい口調ではないため、あっさりとした文章で読みやすいのがこの本の良いところ。各タイトルごとに「ギャラリートーク」があり、筆者と生徒(?)によるざっくばらんな会話口調の対話形式が記されてあり、これがさらに読みやすく親しみやすいものとしており、飽きることなく最後まで読むことができてよかった。

 聖書の一つの場面を幾人もの画家が描いており、それらを見比べるだけでも楽しかった。聖書画を理由に裸像を描いていたり、残虐な場面を描いていたりと、時代の空気感といったものも感じることができた。西洋美術を理解する最初の一歩としておすすめ。
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