1999年6月25日　(株)新潮社

月の写真集です。
一言で月の写真集と言っても、地球から月を見上げて撮った写真集ではなくて、アメリカはNASAから打ち上げられたアポロによって撮影された写真集です。
4半世紀の間、NASAの低音保管庫で誰の目にも触れることなく長い眠りについていた3万2000点の写真の中から129点を厳選した。と、帯に書いてあります。
1969年7月21日に人類は初めて月面に降り立った。とのことですが、私はこの時はまだよちよち歩きも出来ない赤ん坊でしたので、TV中継で見たその瞬間の地球に住む人達の感激というのは、全然覚えていないというか分りません。物心ついた時から月の表面はでこぼこしている、ということを当たり前のように育ちましたので、月を知るためにどのようなことが行われどのような事実があったのか、というようなことは知らずに、あまり興味なく育ちました。
しかし、そんな私の興味の薄かった月着陸への興味も、この1冊の写真集のおかげで濃いものになりました。
中に収められている写真は、資料として撮影された写真だとは思うんですが、それを感じさせないとても綺麗な写真が多く、見る者の興味を惹き付けます。
三日月のような写真がここでは地球とされます。収録写真は、アポロから撮られた写真ですので、アポロから地球、月から地球を撮った写真が普通に載っています。そして、大陽の光りを受けて細かな陰影までくっきりと写し出された月の表面。空気のないところに広がる岩石と山の写真は、地球で撮る風景写真とは明らかに違った表情をそこに見せています。
写真は、地球や月の表面ばかりではありません。宇宙遊泳をする宇宙飛行士の姿や、”成功した失敗”と言われたあのアポロ13の宇宙船内部を捉えた写真もあります。
この写真集には、巻末にて1枚1枚の写真の説明が付いていますので、その写真がどういうものなのか知ることが出来ます。日本版特別付録として、立花隆さんのテキストとアポロ11号の打ち上げを目撃した北杜夫さんのインタビューが付いています。
さぁ、よろしければ是非この写真集で月への旅を堪能して下さいませ。

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