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「24人のビリー・ミリガン」 ダニエル・キイス
投稿日 : 2000/10/09 23:15
投稿者 Excalibur
参照先
この作品以降「多重人格」という言葉も広く浸透してきたが、はたして一人の人間の中に24もの別の人格が棲む、等ということがありうるのだろうか? しかも年齢や性別、知能、国籍さえ異なる存在として。
ダニエル・キイスの説得力ある文章を読み終えた後でも、実は半信半疑である。
これを単なる小説として楽しむことは容易いのだが、現に連続レイプ犯として逮捕されたウィリアム・スタンリー・ミリガンという人物は実在しており、これが実際の取材・インタビューに基づいて書かれたノンフィクションなだけに、素直には楽しめない。「精神障害」を理由に「無罪」とされたことは、被害者の立場からすれば到底承服しかねることであろうし。
だが、ビリーの体験は凄まじいが故に好奇の目に晒されることになったが、実は「人格」の「分裂」というものが決して特殊なものではなく、誰もが抱える心の問題であることに気付いた時、本書は違った味わいを持つことになる。それがこの作品を一過性ではない、不変的なベストセラーにした理由だと思うのだが。
余談だが、日本の医学界では「解離性同一性障害(多重人格)」は、正式に認められてはいない。本書を読んだ後では、それが意外に思えることだろう。
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