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「怪獣使いと少年/ウルトラマンの作家たち」 切通理作
投稿日 : 2001/09/10 21:13
投稿者 Excalibur
参照先
初期・中期の<ウルトラ・シリーズ>を支えた四人の脚本家を、その作品だけではなくそれぞれの作家の育った環境や、作品の放映されていた時代背景などを踏まえて論じた一冊。
私と同世代の、いわゆる<若手の>論客は大勢いるが、決して攻撃的にならず、ソフトな切り口でありながらも深い掘り下げを見せている作家は、この人の他にはなかなか見当たらない。

ここで取り上げられている四人とは、沖縄出身で最後まで沖縄と日本との掛け橋たらんと足掻きつづけた金城哲夫、現実を斜めに見て、ウルトラマンを、天皇制を、体制そのものを批判的に捉えた佐々木守、同じ沖縄出身でありながらも、<日本>という異世界で生きることを選択した上原正三、そしてクリスチャンである市川森一。それぞれ、「永遠の境界人」「永遠の傍観者」「永遠の異邦人」「永遠の浮遊者」と副題がつけられているが、それぞれの作家の拠って立つスタンスから巧く切り分けられた作品論・作家論は見事である。
勿論その評価の対象となっているのは<ウルトラ・シリーズ>の諸作品に留まらない。
『怪奇大作戦』や『マイティジャック』『快獣ブースカ』といった他の円谷プロ作品は言うに及ばず、金城哲夫ならばその脚本デビュー作『こんなに愛して』や沖縄に帰って以後の沖縄芝居、佐々木守ならば『七人の刑事』や大島渚のいくつかの監督作品、『お荷物小荷物』『アイアンキング』『三日月情話』『日本春歌考』『ピーマン白書』、上原正三ならば『がんばれ!!ロボコン』『ワイルド7』『宇宙刑事シャリバン』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『イナズマンF』、市川森一では『胡椒息子』『グッドバイ・ママ』『夢で別れて』『シルバー仮面』『刑事くん』『コメットさん』『新坊ちゃん』『山河燃ゆ』『黄金の日々』etcetc。多角的にアプローチすることによって、<ウルトラ・シリーズ>で描かれた作品群を浮き彫りする構成になっているのだ。
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