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「情熱」 フィリップ・トルシエ with ルイ・シュナイユ
投稿日 : 2002/07/02 23:45
投稿者 久保田r
参照先
2001年12月25日 日本放送出版協会
著者:フィリップ・トルシエ/ルイ・シュナイユ
訳者:松本百合子

 枠に収まらない情熱。型にはまらない情熱。その情熱の大きさ。経験に基づく直感の良さで日本代表を引っ張り続けて来たフィリップ・トルシエ監督のサッカーに賭けるひたむきで純粋な「情熱」が隅々まで詰まった本です。
 その焼けるような情熱に浮かされ、フィリップ・トルシエという人物をもっと知りたくて買った本でありましたが、最初の1ページから終わりの1ページまで、まるで1本の映画を見るような広がりとシナリオ性を持った本だと思いました。始め、映像が目に浮かぶような表現と文の構成に、トルシエ監督のパーソナルアシスタントである(映画雑誌の編集を務めている)フローラン・ダバティ氏が訳しているのかと思いましたが、彼の名前は文中には出てくるものの著者スタッフの中には入っておらず、これはひとえにトルシエ監督自身から発せられている「情熱」から自然派生的に生まれ出た本なのだな、と、思いました。フィリップ・トルシエという人を語ろうとする時、誰もが彼の中に「情熱」にまみれたドラマを見るのだと思いました。
 中に書いてあることは、組織の何たるかであります。日本代表という一つのチームを如何に世界に通用する組織へと進展させて行くか。それに対する彼の考え、行動が記されています。
 それには、彼の生い立ちや軌跡を知る必要があり、本の中で彼は、幼い頃の写真と共に自分のサッカー人生を語っています。生まれながらのフランス人気質に冒険を愛する心を合わせ持った彼は、いつしか母国を飛び出してアフリカで指導者としての経験を積み、日本へとやって来ます。常に冒険家であり、挑戦者でもある彼は、柔軟に日本の特性を読み取ってそれを活かして行くプロジェクトを組みます。何をすべきで、何が足りないか。試合を実験と呼んだ彼は、試合ごとの実験の成果を着実に日本の実績として積んで、目標であるW杯への道を歩みます。
 サッカーとはチームプレイである。日本代表とは、文字通り日本を代表するチームである。日本を代表するということは、スポーツを超えた国家的な意味合いを含んでいる。ただ単純にサッカーをするだけではない。もっともっと肌で世界と触れ合うことで、力は貯えられる。サッカーを通して見る世界観とその為のプロジェクト。それらの意味と理由を本を通して私達に説いています。
 彼と歩んで来た日本代表。この本を読んだ後に再びW杯を振り返ると、サッカーに賭ける世界的な熱狂的な熱さを理解出来るようになります。人を突き動かすサッカーの熱波。その波を自国開催ということで実際に触れ合うことが出来たことを幸せに思う内容となっています。
 彼の言葉「日本のフェアプレーは素晴らしい」を私は誇りに思います。そして、彼の「情熱」によって日本のサッカー界の扉は世界へ向けて開かれました。ありがとう。トルシエ監督。あなたのたゆまない冒険に幸多からんことを。
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