トップページ > 記事閲覧 
「相棒 -劇場版IV-/首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」
投稿日 : 2019/12/04(Wed) 15:50
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:橋本一
製作:亀山慶二、手塚治、水谷晴夫、久保雅一、沖中進、浅井賢二、木下直哉、大川ナオ、樋泉実、伊藤裕章、二木清彦
製作総指揮:早河洋
Co.エグゼクティブプロデューサー:佐々木基
エグゼクティブプロデューサー:西新
プロデューサー:桑田潔、佐藤凉一、伊東仁、遠藤英明、西平敦郎、土田真通
脚本:太田愛
美術:近藤成之
撮影監督:会田正裕
編集:只野信也
音響効果:西村洋一
音楽:池頼広
音楽プロデューサー:津島玄一
VFXスーパーバイザー:宮島壮司
VFXプロデューサー:戸枝誠憲
助監督:安養寺工

<出演>
水谷豊/反町隆史/鈴木杏樹/川原和久/山中崇史/山西惇/六角精児/神保悟志/小野了/片桐竜次/仲間由紀恵/及川光博/石坂浩二/山口まゆ/益岡徹/菅原大吉/篠井英介/江守徹/北村一輝/鹿賀丈史、他

2017年 東映
記事編集 編集
Re: 「相棒 -劇場版IV-/首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」
投稿日 : 2019/12/04(Wed) 15:56
投稿者 久保田r
参照先
 人気刑事ドラマ「相棒」の劇場版第4作。主演は、「相棒」といえばこの人、水谷豊さんと、4代目相棒役の反町隆史さん。監督は、多くのTVシリーズの監督を務め劇場版では初となる橋本一さん。脚本も同じく劇場版では初となる太田愛さん。出演は新旧レギュラー陣に加え、鹿賀丈史さん、北村一輝さん、篠井英介さん、江守徹さん、益岡徹さんら多くの実力派が顔を揃えている。

 大雨の夜、一人の外国人男性が追っ手から逃げ惑っていた。杉下右京と冠城亘は、白髪の紳士と共にその男性を助けるべく急行していた。辿り着いた時には、男性は何者かに殺害されており、タブレットなども持ち去られていた。マーク・リュウと名乗る白髪の紳士から7年前にイギリスの日本領事館で起きた集団毒殺事件のことと犯罪組織のリーダー、レイブンのことを知らされた特命係は、マーク・リュウと共に捜査を開始。その矢先、杉下とマーク・リュウが昼食をとっていたビルで集団食中毒が発生、そして7年前の事件の生き残りの女の子が実は生きており犯罪グループより日本政府に身代金を要求するという事件が発生する。これらのことは全て繋がっているのか。期限の迫る中、特命係の渾身の捜査が始まる。

 冒頭の少女たちの遊びのシーンの映像が何とも美しい。趣のある邸の室内と美しいドレスをまとった少女たちが華麗にスキップを踏んで舞う映像の余韻は、作品後半に登場する成長した少女が活躍するシーンまで目に焼き付いているほど。楽しく遊んでいた筈の少女が一転して闇へと転落した事件の顛末が、今作の何とも重く切ないストーリーと繋がっている。

 今作の最大の見せ場は、やはり終盤の杉下右京 vs 犯人の会話シーン。立場の異なる二人の思いのこもった言葉が取り交わされ、相手を諭す言葉と自身の尊厳を守る言葉のやりとりは、どちらにも言葉に重みがあるだけに見応えがあった。会話の終わりに流れた涙に自然と胸が切なくなる。

 旧レギュラー陣の見せ場にはユーモアがあって良かった。ただし、時間の制限からかやや唐突に登場して、やや唐突に見せ場終了というのが寂しくはあったが、キャストの多い作品だけに仕方のないところか。そんな条件の中でも、役のキャラをきちんと表現していたところは流石。

 タイトルに「人質は50万人!」とある通り、全体的に圧倒的な物量を感じる映像が多いのが特徴。捜査本部には多くの警察官が集まり、こんなに集まってれば特命係の二人くらい混じっていても分からないだろうと思えるのだが、そうなると神戸尊の出番がなくなってしまうのでその点のツッコミは辞退するとして、捜査員の一人一人の前にパソコンがあるのは凄い光景だった。およそ情報機器を使った捜査など苦手であろう、あの伊丹刑事でさえ普通にパソコンを使っていたのだから時代の流れとはかく恐るべし。ちなみに伊丹・芹沢コンビは、後半に犯人グループと格闘戦を演じて大活躍。

 そして、パレードの圧倒的な物量シーンも凄かった。どこまでも続く人、人、人の波。歓喜の熱気の中で犯人を探す展開は、見ている側も自然と緊張感の高まる良いシーン。そういえば監督の橋本一さんは、劇場作品「相棒/X DAY」でもクライマックス・シーンで車が大渋滞している中、大勢の人間が空中に舞う紙幣を取り合うシーンを撮っており、圧倒的物量の車と人混みと紙幣にまみれながら1対1で犯人を確保する伊丹刑事の奮闘を撮っている。こういった一つのところに人や物が多く集まる映像は、見た目にも派手で見応えがある。

 しかし、橋本一監督の真の見応えは、人間の内面から滲み出るハードボイルドを映し出すことにあると思うので、そういった派手な演出の影にある台詞にも語られない部分にこそ監督の表現したいことが詰まっているように思う。また、太田愛さんの描く脚本も人間の目に見える行動部分よりも内面や思いを重視した内容であるため、登場人物の心理を読み取り、映像を通して見る者それぞれが心の中で感じ取って鑑賞するのが良いように感じたしだい。

 作中に「日本人が日本人であるというだけで狙われる」という台詞があり、これは作品の描いた「日本人が先の大戦の日本人の罪を責める」と少し似ている。作品が、日本人であるということが戦争の罪を背負うということを伝えようとしていると読み取るのは考え過ぎかもしれないが、もしそうなのだとしたら「相棒」を単純に楽しむのが難しくなってくる。メッセージ性の強すぎる「相棒」は「相棒」なのだろうか…そんな後味の残る今作であった。
記事編集 編集
件名 スレッドをトップへソート
名前
メールアドレス
URL
画像添付


暗証キー
画像認証 (右画像の数字を入力) 投稿キー
コメント





- WEB PATIO -