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「孤狼の血」
投稿日 : 2020/09/24(Thu) 16:40
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:白石和彌
企画プロデュース:紀伊宗之
プロデューサー:天野和人
原作:柚月裕子
脚本:池上純哉
撮影:灰原隆裕
美術:今村力
衣装:森口誠治
編集:加藤ひとみ
音響効果:柴崎憲治
音楽:安川午朗
音楽プロデューサー:津島玄一
照明:川井稔
ナレーション:二又一成
映倫:R15+

<出演>
役所広司/松坂桃李/真木よう子/滝藤賢一/音尾琢真/駿河太郎/中村倫也/阿部純子/岩永ジョーイ/九十九一/田中偉登/野中隆光/沖原一生/中村獅童/竹野内豊/町田マリー/竜のり子/嶋田久作/矢島健一/MEGUMI/伊吹吾郎/ピエール瀧/田口トモロヲ/石橋蓮司/江口洋介、他

2017年 東映

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Re: 「孤狼の血」
投稿日 : 2020/09/24(Thu) 16:45
投稿者 久保田r
参照先
 原作者の柚月裕子さんが「仁義なき闘い」へのオマージュとして書いた作品を映画化。内容は、暴力団対策法成立直前の昭和63年に起こった広島でのヤクザの抗争とヤクザ顔負けの刑事との闘いを描いたもの。主演は、役所広司さん。相棒役に松坂桃李さん。対立し合うヤクザの幹部役には、石橋蓮司さんを筆頭に伊吹吾郎さん、竹野内豊さん、江口洋介さん、嶋田久作さんらが顔を揃え、ヤクザとマル暴刑事の凌ぎ合いが描かれている。

 「兄が4ケ月前から行方が分からない」という女性が警察に訪れる。聴取をした大上は、相棒の日岡を伴ってパチンコ店へと行く。スロットを打っている関取と呼ばれている男に因縁をつけて来いと命じられた日岡は、言われた通りに持っていたドリンクをぶっかけて因縁をつける。散々殴られ血まみれになった頃に大上が現れ、公務執行妨害、傷害罪等を理由に行方不明になっている上早稲の居所を吐くように迫る。上早稲の失踪には長年にわたる広島仁正会と尾谷組との抗争が絡んでおり、大上もまた14年前の殺人事件への関与が疑われていた。日岡は、監察官から大上の行動を報告するよう命じられていたが、行動を共にするうちに次第に大上という人物を理解し始める。そして、事態はより一層血なまぐさい抗争へと発展していくこととなり…。

 幕開けから目を背けたくなるような惨状が映し出され、必然的に気分が悪くなる。いわゆるヤクザが行う拷問シーンであり、血も涙も関係なくいたぶる様子がまざまざと映し出され、これからこういうことを行うヤクザとマル暴刑事との渡り合いの展開を予測させる先制的な冒頭シーンとなっている。場面が一転して胸の大きい色っぽい女性を聴取するシーンでは、マル暴刑事の大上の粗野な部分と男の欲望とが全身から放たれており、こんなのが警察官なのかというインパクトが伝わってくるシーンとなっている。長年ヤクザを相手にしてきた影響なのか、言葉遣いも行動もヤクザ顔負けの迫力を持っており、この男に逆らったら痛い目に遭うのではと思わされる点では、ヤクザとそう変わらない。しかし、大上は警察官であり、郷に入っては郷に従えを利用しつつ長きにわたる抗争を止めようとする執念が彼の中にあることを日岡を除く仲間たちは知っていた。

 観察対象の大上をマークすべく赴任した広島大学出身の日岡の存在が、時には場の清涼剤になり、時には鬱陶しくもあり、時には意外な度胸をも見せ、場違いのような存在でありながら食らいついていく姿勢が、徐々に大上の追っていたものの核心へと触れていくごとに、逞しくしたたかに変化(成長)していく様は頼もしさがあって良かった。何事も初めから答えなど用意されてはいない。組織の一員として従っていた命令の裏にあるものに気づいた時、日岡は大上の人となりを自分自身の中に受け入れることが出来、大上から学んだことを利用して警察官として成すべきことを成し遂げた。抗争の終わりは、大上と日岡の働きによってもたらされた。

 原作が「仁義なき闘い」へのオマージュとなっているため当作品も広島が舞台となっており、会話が広島弁となっているためいささか聞き取りづらいのが難点。しかし時代設定が昭和の最後となっていることから、戦後のヤクザの体質を表現するにはギリギリの時代設定であると言える。大上は、昭和の血なまぐさいヤクザを相手にし、それを目の前で目撃して次の時代へと繋いでいくのが日岡の役目。昭和の警察官から平成の警察官への橋渡しともなっている内容。
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