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「日本のいちばん長い日」
投稿日 : 2021/08/31(Tue) 15:58
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督・脚本:原田眞人
製作総指揮:迫本淳一
エグゼクティブプロデューサー:関根真吾、豊島雅郎
プロデューサー:榎望、新垣弘隆
原作:半藤一利
撮影:柴主高秀
美術:原田哲男
編集:原田遊人
音楽:富貴晴美

<出演>
役所広司/本木雅弘/山崎努/松坂桃李/中嶋しゅう/蓮佛美沙子/キムラ緑子/福本清三/麿赤兒/戸田恵梨香/野間口徹/松山ケンイチ/堤真一、他

2015年 松竹
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Re: 「日本のいちばん長い日」
投稿日 : 2021/08/31(Tue) 16:02
投稿者 久保田r
参照先
 第二次世界大戦末期。戦艦大和が撃沈し、空襲が激化していく中、戦争をどう終わらせるかという政府の苦悩と葛藤を描いたノンフィクション作品の映画化。監督・脚本は、「クライマーズ・ハイ」「わが母」などを手がけた原田眞人さん。時の総理大臣を演じたのは、山崎努さん。本土決戦を主張して止まぬ陸軍を必死に抑え込む陸軍大臣役を役所広司さん、強硬派の青年将校役を松坂桃李さんが演じている。

 タイトルにある「いちばん長い日」とは、終戦を告げる玉音放送が流れるまでの1日間を指しており、放送を阻止せんとする陸軍の強硬派との”戦い”が、焦れったいほどに緊迫感をもって描写されている。物語の幕開けは、鈴木貫太郎が内閣総理大臣に任命されるところから。前半は内閣と軍と天皇とのやりとりが主流となってポツダム宣言を受諾するまでの下地が描かれ、鈴木総理と阿南陸軍大臣の人となりが分かったところで、「いちばん長い日」となる後半へと事態は流れていく。

 本土決戦をすれば必ず勝てると信じてやまない強硬派の青年将校、畑中健二が凄まじい気迫に取り憑かれていて狂気すら感じるほど。思い通りにならない事態に憤りが募るばかりで、遂にはクーデターを起こして同じ陸軍の近衛師団長を殺害してしまう。終盤、電源が落とされた放送局のマイクに向かって聞く者のない主張文を読み上げる姿には一抹の寂しさが漂っていた。役を演じた松坂桃李さんの凄みに満ちた表情が鬼気迫っている。まばたき一つせず武器を向けて相手に迫る様は、異様であった。

 そんな強硬派と、終戦に向けて動く天皇と政府の意向との間で板挟みとなった阿南陸軍大臣の苦悩もまた凄まじい。懐の深い人物であるが故に青年将校らを厳しく責めもせず、全ての責任を一身に引き受け、混乱に陥っている陸軍全体へ向けて自決という最期で終戦を知らしめている。この最期を迎える一夜は、阿南にとってもいちばん長い日であったと思う。家族思いという人間味と軍人としての生き様を兼ね備えた人物像を役所広司さんが熱演されている。

 原作がノンフィクションであるため淡々に刻々と話が進んでいるように見えるが、役者さんの演技によって多少エンターテインメント性が付加されているように感じられた。シリアスな展開の中にも端々にユーモラスな場面があったり、強調された人物像など分かりやすく見やすい工夫がなされているように感じられた。鑑賞後、全体的な後味が明治初期の軍隊と生き残りの侍との戦いを描いた「ラスト サムライ」と似ていると感じたため作品について調べていたら監督の原田眞人さんは、「ラスト サムライ」で俳優デビューしていたとのこと。納得。
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