「ホワイトアウト」
投稿日 | : 2001/02/28 22:38 |
投稿者 | : Excalibur |
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先ずは日本でこれだけスケールの大きな娯楽映画が作られたことに感謝したい。
そしてこの作品がヒットしたことを素直に喜びたい。
一口に和製『ダイ・ハード』と簡単に片付けられてしまいがちではあるが、今までの和製『○○』という言葉に含まれるイミテーション臭さは、この作品に限っては希薄である。
さて『ダイ・ハード』の『ダイ・ハード』たる所以、限定空間でのアクションということで考えるならば、ダムという舞台はなかなか面白い。ただ、内部が一般にはあまり知られていないだけに、見せ方の工夫の余地は充分に残されており、またストーリー上の伏線だとはいえ、登場人物たちの位置関係が掴みづらいのはマイナス要因だ。それでも編集のテンポの良さが救いにはなっているのだが。
救いといえば役者陣の頑張りも特筆すべきだろう。主役である織田裕二の文字通りの体当たり演技を筆頭に、佐藤浩市のこだわりぶり、中村嘉葎雄の包容力etcが作品全体を引き締めている力になっている。また、単なる紅一点ではない松嶋菜々子の存在感にも注目していいだろう。
一つ一つの要素では、それぞれ利点・欠点あるものの、それらのアンサンブルが見応えのある作品に昇華せしめているのは事実だ。これは邦画にとっての光明であろう。
これだけの大作を量産するだけの体力は、まだまだ日本映画界にはない。また、粗製濫造はせっかくの芽を刈り取ることにもつながりかねない。だが、この作品が示してくれた一筋の光は大切に育てて欲しいものである。
(2000/12/8 池袋HUMAXシネマズ4 CINEMA4)
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