弁慶と義経の五条大橋での戦いを、新解釈を交えて大胆に描いた作品。
ともすれば遮那王（後の義経）を演じた浅野忠信と、二人の対決を「見る」者として運命付けられた刀鍛冶崩れの鉄吉を演じる永瀬正敏の競演のみクローズアップされがちなのだが、何といっても主人公である弁慶を演じた隆大介の表現力と圧倒的な存在感あってのもの。従来の義経像を大きく逸脱した浅野の演技も、隆の明確な弁慶というキャラクターの解釈と体現があったればこそ、である。
惜しむらくは感覚に流されたようなショットが多いことで、あと１０分乃至２０分程度尺を詰めていれば傑作になりおおせていたかも知れない点。ラスト・シーンの受けとめ方も、好みの分かれるところだろう。
なお撮影当時中学３年生だった、遮那王の影武者・芥子丸を演じた細山田隆人の今後に注目したい。台詞の殆どない役どころだが、微妙な表情で演じるあたり、大器の片鱗がうかがわれる。

　　　　　　　　（2001/4/14　ＶＩＤＥＯ）

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