「空飛ぶゆうれい船」
投稿日 | : 2001/08/08 22:09 |
投稿者 | : Excalibur |
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予算や製作日数は少なめか、と思わせる部分もあるが、ややアナクロな少年向き冒険活劇と社会派ドラマが奇妙に同居している快作。
時代の風潮がそうさせたのか、マスコミや政財界への皮肉をきかせた内容は、<東映まんがまつり>としてはややハードすぎる嫌いがあり、当時の現役の観客(=児童)は、この作品をどう受けとめていたのかに興味がある。充分に今日的なテーマといえる。
とはいえ60分という時間の中では舌足らずの印象を受けてしまうが、これは<まんがまつり>という制約の中では仕方あるまい。黒幕の「ボア」の正体も最後まで曖昧なままだが、これはこれで効果的ですらある。同じ石ノ森章太郎の『サイボーグ009』における<黒い幽霊団>(ブラック・ゴースト)が、人間の心が産み出した抽象的なもの、と解釈できるのと基本的には同じなのだろう。原作コミック『幽霊船』を未読のために、どの程度原作が活かされているのかは定かではないのだが。
かといって本作は、決して重苦しさ一辺倒のドラマではない。漫画映画として充分楽しめる作品である。絵的にも、「空飛ぶ船」の図、というのは正に男の子のロマンの具象化。主題歌「隼人のテーマ」も冒険の香りに彩りを添える出来であるが、エンディングに1コーラスしか流れないのがちょっと残念。
作品データ