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「レッド・オクトーバーを追え!」
投稿日 : 2002/01/04 23:03
投稿者 Excalibur
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アメリカの眼前に突如出現したソ連の最新鋭潜水艦レッド・オクトーバー。米政府はその目的をアメリカ攻撃だと判断するが、CIA分析官(アナリスト)ジャック・ライアンは只一人、亡命の可能性を示唆する。一方、ソ連軍は総力を挙げてレッド・オクトーバーを追跡している。攻撃か亡命か、決断に要する時間は残り少ない。かくして大西洋は、米ソ入り乱れての戦場の場と化してゆく――というこのハイテク・サスペンスは、トム・クランシーのベストセラー小説の映画化。
膨大な情報量をディティールの積み重ねで描写していくクランシーの小説は、実は映画化には適さないと思うのだが、本作は大胆な集約と独自の解釈によって骨太なドラマとなった。それでも原作を知らないと辛い部分があるのは、原作の長さ(文庫本にして2冊分)からして致し方ないだろう。原作との相違点(ライアンがラミウス艦長と面識があることや、重要な役回りであるイギリス海軍が登場しないことなど)はいくつかあるものの、そのいづれもストーリー運びをスムーズにさせているので、改悪とも言い切れない。
この作品を骨太に見せている要素は、勿論ジョン・マクティアナンの演出力もあるのだが、ここでは二人の漢(おとこ)の名を挙げておこう。
先ずはレッド・オクトーバー艦長マルコ・ラミウスを演じるショーン・コネリー。年齢を重ね渋くなってからのコネリーは実に魅力的だ。ロシア人役としては無理があるが(ロシア語も喋らない)、原作以上に魅力的な人物像を創り出している。当初クラウス・マリア・ブランダウアーでクランク・インしたものの変更。正確な理由はわからないが、これは正解だった。
一方、コネリー絶賛の陰でやや損をしてしまった感のあるのが、ジャック・ライアン役のアレック・ボールドウィン。ハリソン・フォードも候補に挙がっていたライアン役だが、CIAのアナリストという知的な役柄、家庭を大事にする一般人というイメージにはボールドウィンの方が適役だ。せっかくのシリーズ・キャラクターでありながらも、これ一作で降板してしまったのが惜しまれる。
更にサム・ニールやスコット・グレン、ジェームズ・アール・ジョーンズらが脇を固め、ベイジル・ポールドゥーリスの重厚な音楽がこれを盛り立てる。殆ど女性の登場しない映画だけに華やかさとは無縁に思われるが、この漢たちのアンサンブル。これこそ紛れもない「華」なのである。
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Re: 「レッド・オクトーバーを追え!」
投稿日 : 2008/07/06 17:04
投稿者 久保田r
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 ソ連の最新潜水艦とその艦長とCIAのデータ・アナリストが主役となっているストーリー。ソ連の最新潜水艦「レッド・オクートーバー」は、処女航海に出発する。艦長のラミウスは、国からの命令を無視して進路をアメリカへと向ける。一方、CIAのデータ・アナリストのライアンは、ラミウスのこの行動を亡命と判断し、戦争回避の為に奔走する。

 レッド・オクトーバーは、スクリューではなく最新の技術で航行し、音もなく高速で目標に接近することが可能。その上、ミサイルを積んでいるのでレッド・オクトーバーの取った行動は、アメリカにもソ連にも脅威を与え、両国も”沈める”ことを目的にレッド・オクトーバーを追う。だが、ただ一人ラミウスと会ったことがあるというCIAのライアンだけが亡命の可能性に気付き、レッド・オクトーバーが沈む前にラミウスと接触しようと奮闘し、何とか乗艦に成功する。

 この映画は、何度見ても飽きることなく始めから終わりまで緊張感に包まれて見ることができる。何と言ってもキャストの良さが最高でラミウス艦長役のショーン・コネリーを始め、ラミウス艦長を支えたボロディン役のサム・ニールも、ライアン役のアレック・ボールドウィンも、ダラスの艦長役のスコット・グレンも、レッド・オクトーバーの艦医も、ダラスのソナー担当者も、その他のキャストもみな違和感なく役と一致していて良かった。

 ストーリーが、国家レベルの政治的な話が絡んでいる内容なので分からない点も色々とあるが、それらの説明がなくとも潜水艦の息を潜めた探り合いと行動はハラハラもの。ラミウス艦長のギリギリのタイミングで躱す戦術は、見る度にドキドキし、このレッド・オクトーバーの動きだけで十分に作品に魅力がある。

 私的には、ダラスの艦長を最も気に入っていて、終盤でレッド・オクトーバーでラミウス艦長と共に指揮を執った一連の戦闘シーンは大のお気に入り。ダラスの乗組員とレッド・オクトーバーの乗組員が協力しあい、ダラスまでも魚雷の目標撹乱の為に海上を飛び、最高に盛り上がるシーンとなっている。

 このストーリーは、架空に過ぎないのかもしかしたらとんでもないリアルさがあるのか、そこのところは知る由もないが、リアルに思えて来るほど練り込まれているのが良い。国の為に働き続けて来た一人の男の亡命のドラマが渋くシリアスに描かれていて、見た後にじっくりとした味わいに浸れる。
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大好きです\(^O^)/
投稿日 : 2002/01/16 02:27
投稿者 しお
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長い作品なのに全く緊張感が途切れなくて、
最初から最後まで密度の大きい傑作だと思います!
勢い余ってアメリカ版DVD輸入しました(今は日本版出てます)。

僕は原作は全く知りませんで、
エクスカリバーさんの文を読んで初めて知ったのですが、

> 原作との相違点(ライアンがラミウス艦長と面識がある

これはびっくりです。(^^;)
映画ではこれを元にしてライアンが推理を始めますよね。
あの辺のスリリングな展開がとてもドキドキして好きです。

渋い俳優がたくさん出てきて贅沢ですが、
個人的にはスコット・グレンがとてもいいと思いました。
一見威圧感はなさそうででも頼れる男で格好よかったです。
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何度でも見てしまう・・・。
投稿日 : 2002/01/14 20:16
投稿者 Excalibur
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映画を見てから原作を読み、またビデオで映画を見、更に原作を読み返す。
最初のTV放映こそ見逃しているけれども、それ以後はTVでやる度ついつい気になってつけてしまう。
多分、’90年代以降に作られた作品の中では一番回数を見ている作品だろうと思う。
といっても頭から終わりまでキチンと見ているかというとそうでもなく、「ながら」で見ていたり途中が抜けていたりということはしょっちゅう。そもそもTV放映だと、オリジナル135分の作品が40分以上カットされているのだから無理なのだが・・・。
でもこの作品に出会わなければ、きっとポリティカル・サスペンスなどというジャンルには興味を持たなかったはずで、現在の私の趣向へ与えた影響は大である。この作品と『推定無罪』、それに『ジュラシック・パーク』が’90年代以降の私の原点。さもなけりゃトム・クランシーやマイクル・クライトン、スコット・トゥローは言うに及ばず、ジョン・グリシャムもシドニィ・シェルダンもフレデリック・フォーサイスも読んじゃいないし、『007』シリーズの再評価などということもしていなかっただろう。

TVで何度も見ているということはイコール吹替版を楽しんでいるということにもなるのだが、現在までビデオを含めてこれには3ヴァージョンが存在している。これがいずれも「帯に短し襷に長し」という状態で決定打がないのだ。
まずビデオ吹替版。こちらはショーン・コネリー/小林清志、アレック・ボールドウィン/富山敬という組合せだ。どちらもベテランの演技故に見せてしまうのだが、コネリー/小林清志はどうにも馴染めない。ボールドウィン/富山敬も、これが適役かというと疑問符がついてしまう。
TV放映版ではこれが定番のコネリー/若山弦蔵へと代る。流石にこれは一番のハマリ具合で安心して見ていられる。対するボールドウィンは大塚芳忠。アグレッシブといえば聞えは言いが、なんだか軽いというか忙しない印象。もう少し知的な面は出せないものだろうか。
更に最近になってTV放映の改訂版が出来たのだが、こちらはコネリー/坂口芳貞、ボールドウイン/江原正士のコンビ。これはまた田舎臭いというか泥臭いというか、品のない組合せでガッカリ。
複雑に入り組んだサスペンス物だけに細部まで楽しむには吹替版を!と思っているのだが、どうも世の中巧く行かないようで・・・。コネリー/若山弦蔵をフィックスにした更なる改訂版、作ってもらえないものだろうか。といっても肝心のボールドウィンがなかなか決まらないのだが・・・。
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作品データ
投稿日 : 2002/01/04 23:04
投稿者 Excalibur
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監督:ジョン・マクティアナン
製作:メイス・ニューフェルド
脚色:ラリー・ファーガソン/ドナルド・スチュワート
原作:トム・クランシー
製作総指揮:ラリー・デ・ウェイ/ジェリー・シャーロック
音楽:バジル・ポールドゥリス

ショーン・コネリー/アレック・ボールドウィン/スコット・グレン/サム・ニール/ジェームズ・アール・ジョーンズ
ジョス・エクランド/リチャード・ジョーダン/ピーター・ファース/ティム・カーリー/カートニー・B・バンス
スティーラン・スカルスガード/ジェフリー・ジョーンズ

1990年
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