「電子頭脳人間」
投稿日 | : 2002/03/05 23:06 |
投稿者 | : Excalibur |
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殺人衝動に駆られる男が脳に電極を埋めこみ、コンピューターによる制御を試みようとする、というマイクル・クライトンの『ターミナル・マン』のほぼ忠実な映画化。医学スリラーというか、フランケンシュタイン物の一変形と言った方が良いか。
だがテクノロジーを主とする原作の描写を、当時の技術やセンスで画面に移しかえると途端にスケールダウン。しかも今日的にはちと古臭すぎる。想像力を掻き立てる小説という分野に対して、即物的表現の映像メディアの敗北である。
また、サスペンス物と割り切ってショッカー演出に力を注ぐか、或いは主人公を悲劇の人物として捉えて人間ドラマに徹するかすれば勝算はあったかもしれないが、ドキュメンタリー・タッチがかえって徒となり煮えきらない出来となってしまった。主演のジョージ・シーガルも好演ではあるが、原作のイメージからは遠い。
なお、バッハの「ゴルトベルグ変奏曲」25番が印象的に使われている。
作品データ