「13ウォリアーズ」
投稿日 | : 2000/12/12 23:24 |
投稿者 | : Excalibur |
参照先 | : |
10世紀を舞台に、バグダッドの使節がバイキングと出会う冒険物語。
原作はマイクル・クライトンの『北人伝説』で、ストーリーは概ね原作通りだけど、テクノロジー派とも称されるクライトン作品としてはちょっと異質な部類になるかな。
原作での主人公は争いを嫌う詩人なので、アントニオ・バンデラスではちょいとイメージが違うけど、映画においてはアクティブなキャラクターへと多少シフトされているので特に問題はなし。主人公が逃げ回ってるアクション映画、というのも難しいだろうし。
映画ならではの改変、という点ではもう一つ面白いのが「言葉」の問題。
原作じゃ主人公イブン・ファドランはバイキングの言葉がわからないので、バイキング戦士の一人が通訳してくれて進行している。ただ小説ならいいけど、それを映画でやっていたらテンポが悪くなるからどうするのかなと思っていたら、なんとイブンが短期間でバイキングの言葉を覚えちゃうという強引な(?)展開で、しかもそれを劇中では、バイキング達が急に英語を話し出す(!)という形で表現している。なんでもありだなぁ。まぁ、『レッド・オクトーバーを追え!』でロシア人艦長役のショーン・コネリーの科白を英語で押し通した前科のあるジョン・マクティアナン監督のことだから・・・(吹替版のビデオでも、途中からバイキングは日本語を話し出す)。
ところでこの作品、製作中に監督のマクティアナンと、プロデューサーとしてもクレジットされてるクライトンが衝突。クライトン自ら編集(監督も?)を手掛けたとのこと。マクティアナンは予定されていたクライトン原作の次回作『エアフレーム/機体』の映画化からも降板することになった。その結果、完成も公開も予定からかなり遅れてしまったのだが、さて、一体何があったのやら。でも映画そのものは、そんなゴタゴタは気にならない出来で、単純に楽しめます。ジェリー・ゴールドスミスの重厚な音楽も巧く盛り上げてくれる。
ただ、クライマックスの戦闘シーンでの『七人の侍』との類似点を殊更に強調した紹介の仕方はなんとかならなかったのかな。確かに、監督自ら「意識した」と語ってはいたものの、これが「クロサワの呪縛」なのか・・・? それにロクに宣伝もしないで限定公開した配給会社の姿勢もちょっとねぇ・・・・。
作品データ