「どら平太」
投稿日 | : 2004/11/15 21:23 |
投稿者 | : Excalibur |
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黒澤明・木下恵介・市川崑・小林正樹の4人が共同で監督しようとして果せず、唯一存命している市川崑が単独でメガホンを取った作品。出来得れば黄金期に実現して欲しかった企画だ。実現していれば誰が適役だったろう?三船敏郎ではないな、仲代達矢あたりだろうか。新人を起用する肚もあったようだが、その一方で当時の新聞記事には「三船敏郎・中村錦之助・石原裕次郎・勝新太郎が共演」ともあり、それはそれでワクワクさせられる。
ヤクザ者の親分たちと城代家老らが結託して、利権をほしいままにしている或る小藩の町奉行所に、江戸から町奉行が赴任してくる。放埓を極め”どら平太”と仇名されるこの新任の町奉行は、実は藩の腐敗を正すという任務を帯びていたのだ。
体制側の人物が体制側の悪を懲らしめるという、時代劇としてはちょっと変わった構図。精錬潔白ではない、型破りなヒーローの設定。役所広司をはじめ、役者陣も好演しているので楽しめる一本で、少なくても同監督の(時代劇としての)前作『四十七人の刺客』よりはマシ。ただ、淡々としすぎている嫌いはあって、もうちょっと盛り上げて欲しいなと思うこともしばしば。”痛快な娯楽作”と呼ぶには、今一つ突抜けた爽快感というものに乏しいのが残念でもある。
上映館では、観客の年齢層が高いこともあるのか、妙なシーンというか他愛もないシーンというかで笑いがもれていて、感覚の違いを感じてしまったことを思い出す。
作品データ