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「太陽」
投稿日 : 2007/06/04 16:04
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
製作:イゴール・カレノフ、アンドレイ・シグレ、マルコ・ミュレール
脚本:ユーリー・アラボフ
プロダクションデザイン:エレナ・ズーコワ
衣装デザイン:リディア・クルコワ
編集:セルゲイ・イワノフ
音楽:アンドレイ・シグレ

<出演>
イッセー尾形/ロバート・ドーソン/佐野史郎/桃井かおり/つじしんめい/田村泰二郎/ゲオルギイ・ピツケラウリ/六平直政/他

<ストーリー>
1945年8月。第二次世界大戦終戦間近、地下の待避壕と研究所で生活を送っていた昭和天皇は、自身の存在について苦悩していた。連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見を経て、昭和天皇は人間宣言を決断する。

2006年 ロシア/イタリア/フランス/スイス
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Re: 「太陽」
投稿日 : 2007/06/04 16:06
投稿者 久保田r
参照先
 芸術作品。美しい絵画の中に佇んでいるような、一枚の絵の中で人が動いているかのような作品。色使いが終戦直前直後の日本の状態を表しており、深い悲しみを表すような深く暗みを帯びた色彩が、各登場人物の心中を描写している。誤解を恐れずに書くならば、昭和天皇を芸術の素材として用いたそんな作品。

 昭和天皇の台詞も会話もあるのだが、印象に残っているのは、イッセー尾形氏の作り出した昭和天皇の動く姿と、美しい音楽と、底辺に漂う深い悲しみ。室内のロウソクの灯を消し、窓から入り込む自然の明かりのみで考え事に没頭する昭和天皇の姿は、まさに一枚の絵画。現人神であった昭和天皇の不思議な存在感がよく描写されている。

 作品で描かれている地下の避難壕や昭和天皇の生活スペースがリアルに表現されているのかどうかは知る由もない。この作品は、そういったことよりも昭和天皇の内なる苦悩と人間性を芸術的に感じ取る作品で、映像と音楽と役者の演技を五感で感じ取り、その感じ取った感覚こそがこの映画の率直な感想なのだと思う。

 イッセー尾形氏の演技が素晴らしい。一人芝居の第一人者として長年培ってきたものがすべて活きている。侍従たちという人間に囲まれて生活しているのに人間であって人間でないという立場に置かれた特別な存在感を見事に演じている。皇太子宛の手紙を書いているシーンで、皇后と皇太子の写真を慈しむように見つめる昭和天皇の表情が優しい。そしてこの写真を見つめるシーンは後に深い意味を持つシーンとなっている。

 最後の皇后と会うシーンは、人間らしさが溢れている。皇后を演じた桃井かおりさんの持つ個性が、一気に昭和天皇を人間としている。ラストの昭和天皇の手を引いて走り出すシーンは印象的。
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