＜スタッフ＞
監督：河崎実
監修：実相寺昭雄
プロデューサー：二木大介、河崎実、鈴木政信
企画：叶井俊太郎
原作：筒井康隆（角川文庫刊）
原典：小松左京
脚本：右田昌万、河崎実
撮影：須賀隆
特撮：特撮研究所
美術：池谷仙克
音楽：石井雅子
照明：岩崎豊
録音：星一郎
助監督：落合崇

＜出演＞
小橋賢児／柏原収史／松尾政寿／土肥美緒／ブレイク・クロフォード／キラ・ライチェスカヤ／デルチャ・ミハエラ・ガブリエラ／リカヤ・スプナー／岡村洋一／イジリー岡田／つぶやきシロー／ジーコ内山／松尾貴史／デーブ・スペクター／筒井康隆／黒田アーサー／中田博久／寺田農／村野武範／藤岡弘、他

＜ストーリー＞
2011年、地球規模の地殻変動が起こり、日本以外の全ての大陸が沈没してしまう。日本にあらゆる国の難民が押し寄せ、日本はさらに狭くなる。食料価格は高騰、外貨は全て暴落、当初はもてはやされたハリウッド・スターはやがて落ちぶれていく。そして、日本は、衝撃のラストを迎える。

2006年　日本　クロックワークス＝トルネード・フィルム

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小松左京の『日本沈没』をパロった筒井康隆の原作を、『日本沈没』リメイクに便乗して初めて映画化したものだが、酷評を受けた本家とは違いこちらはスマッシュヒット。単館でひっそりとレイトショー公開されていたが、途中で上映館数も増え、終日上映に切り替えたところもあったようだ。

出演者も小橋賢児、柏原収史、松尾政寿、黒田アーサー、中田博久、寺田農、それに藤岡弘、に村野武範を揃えるなど、本家にも引けを足らない豪華な顔触れが集結。
なかでも映画版『日本沈没』主演の藤岡弘、とＴＶ版『日本沈没』主演の村野武範が共演しているのは、かつてのファンには嬉しいサービス。それも両人の持ち味を活かし、ただの顔見世にはなっていないあたりは評価出来る。
更には原作者・筒井康隆も顔を見せる悪ノリぶり。もっとも当初は小松左京の出演も予定していたようだが、これは最終的に断られたようだ。

とはいうものの、監督は河崎実。
『地球防衛少女イコちゃん』を見たときは衝撃を受けたものだったが、その後はどうにも自分とは波長が合わない。気になる監督の一人ではあり続けているのだが、なかなか心楽しめる作品には出会えずじまい。
というわけで、この作品も手放しで絶賛！・・・とは行かなかった。

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　「日本沈没」のパロディということなのだが、見た直後の感想は「うまい棒」万歳映画…という感じ（笑）。なにしろ、「うまい棒」がもてはやされていて、「うまい棒」を巡って元ハリウッドスターの夫婦は喧嘩をするし、「うまい棒を買ってやると言ったら、すごい喜んじゃって」なんていう台詞までが登場する。映画の中の世界では、「うまい棒」はなんと10万円。ものすごい高級菓子。この映画は、そんな世界観が描かれている。

　日本以外の大陸が全て沈没したことで、アメリカを始めとする各国の首脳が日本の総理をヨイショしまくり。少しでも有利な立場を得ようと接待に余念がない。この首脳同士の会話は、ブラック・ユーモア満載で可笑しいんだけれどもちょっとヒヤヒヤ。この映画は、外国人の友人と一緒には見ない方がいいかも知れない。ブラック・ユーモアが分からない人では「国際問題だ！人権問題だ！」と怒りかねない。とにかく日本人が特権階級を享受するという映画なのだから。（でも日本人男性にとって自虐的な台詞がちらっと登場するが）

　ユーモアに混じって日本の課題も浮き彫りになっている。自給自足能力の低い日本の食料事情や排他的な日本人の性格など、国際社会に於ける日本の課題がクローズアップされていて、これらのことは映画の中の出来事としてだけでなく、現実問題としても心に留めておかなければならないことだと思う。

　とはいえ、楽しい映画。地球規模の沈没なのに今一つ映画のスケールが小さいところも面白さの一つ。監督の河崎実氏、監修の実相寺昭雄氏、原作者の筒井康隆氏の特徴がよく表れていて、ユーモアと特撮が織り混ざっていてドタバタと楽しく見ることができる。「日本沈没」のオリジナル映画版の藤岡弘、氏とTVシリーズ版の村野武範氏の共演がみどころで、村野武範氏は総理役。「日本音頭」なんかを踊っちゃって愛想良しな総理。藤岡弘、氏は、防衛庁長官役。侍魂を持った長官で、最後のシーンが藤岡弘、氏らしいシーン。

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