トップページ > 記事閲覧 
「渋滞」
投稿日 : 2006/06/15 13:58
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:黒土三男
製作:岡田裕
プロデューサー:藤田義則、笹岡幸三郎
脚本:佐藤峰世、黒土三男
撮影:高間賢治
音楽:ケニー・G
美術:丸山裕司
編集:川島章正

<出演>
萩原健一/黒木瞳/宝田絢子/湯澤真吾/岡田英次/東恵美子/清水美砂/緒方幹太/中村嘉葎雄/犬塚弘/浜村純/小林亜星/かたせ梨乃/正司花江/桜金造/段田安則、他

<ストーリー>
1990年12月30日、正月を実家で過ごそうと藤一家は、千葉県の浦安市から四国に向けて車で出発した。予定では夜に着く筈であったが、年末の渋滞に巻き込まれ、車は遅々として進まない。とうとう初日は、沼津で車中泊をすることとなった。そして翌日もまた…。

1991年 アルゴプロジェクト
記事編集 編集
Re: 「渋滞」
投稿日 : 2006/06/15 13:59
投稿者 久保田r
参照先
 子供のいる家庭には、身につまされる映画。レジャーに向けてワクワクした期待を胸に勢いよく出発したは良いが、予想を遥かに上回る民族大移動の大渋滞に巻き込まれ、予定が台無しになってしまった経験のある人ならこの映画のことがよく分かる。歩いた方が速いのではないかというくらいちっとも進まない車にイライラを募らせるお父さんに、そのお父さんから八つ当たりをされ、子供たちからは「まだか。まだか」と急かされ、板挟みのお母さん。子供たちは疲れ果て体調を崩したりして、ちっとも目的地へと近づかないジレンマ。いつから日本はこんなに広くなったんだと、誰彼なしにわめきたくなるほどの”イライラ”が詰まっている。

 人間観察がよくなされていて、殊に夫婦間のこのような状態時の心理状態がよく描かれている。物事が上手く行かない時にイライラする男性の行動パターンや、女性のそれを受けての言動など、時間を追って変化して行く心理状態を上手く描いている。”何でこの人と結婚したのか”という根源的な問題にぶち当たるこの渋滞のようなアクシデントは、夫婦間の相性を試すテストのようなもの。ここをどう過ごすかによって、夫婦間の愛情の真意のほどが分かる。

 ストーリーは、これでもかというくらい行く手を阻むアクシデントに見舞われながらも、何とか1月2日には田舎へ到着。苦労して帰った田舎に宿泊することもなく、数時間の滞在ですぐに千葉へととんぼ返り。あっという間の帰郷ではあったが、久々に会った田舎の人たちと直に触れ合う貴重な時間を過ごした。

 田舎とは、そんなに苦労をしてまで帰るところか?と、自問自答してしまう映画だが、この映画の中には現代の日本に於ける日本人の性(さが)が詰め込まれている。故郷を離れて首都圏で暮らす若者たち。進む過疎化。日本の現代社会から生まれた映画だと思う。

 祖父役の岡田英次が、いい味を出している。一言も台詞のない役だが、田舎にいる年老いた寡黙な親父をリアリティたっぷりに演じている。ちょい役で出た小林亜星もかたせ梨乃もイメージに合う役を演じていて、ほんの1シーンとはいえ印象に残る芝居をしていた。
記事編集 編集
件名 スレッドをトップへソート
名前
メールアドレス
URL
画像添付


暗証キー
画像認証 (右画像の数字を入力) 投稿キー
コメント





- WEB PATIO -