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「無花果の顔」
投稿日 : 2010/08/18 16:56
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:桃井かおり
製作:菊野善衛、川原洋一
エグゼクティブプロデューサー:桑田瑞松、植田奈保子
原作:桃井かおり
脚本:桃井かおり
撮影:釘宮慎治
美術:安宅紀史
美術監督:木村威夫
アートディレクション:伊藤佐智子
音楽:ギラッド・ベナムラム
音楽プロデューサー:Kaz Utsunomiya
VFXスーパーバイザー:鹿角剛司

<出演>
山田花子/桃井かおり/石倉三郎/高橋克実/岩松了/光石研/渡辺真起子/HIROYUKI、他

2006年
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Re: 「無花果の顔」
投稿日 : 2010/08/18 16:59
投稿者 久保田r
参照先
 桃井かおり第1回監督作品。脚本と出演も本人。主演の山田花子さんが演ずる結女(ゆめ)の家族が住む家には、庭に無花果の木があり、結女は幼い頃から無花果に特別な感情を抱きながら育った。ある日、仕事中に父が倒れて帰らぬ人となる。それを機に桃井かおり演ずる母親に微妙な変化が現れ始める。母親は再婚し、引っ越した家には、実家にあった無花果の木が移植された。そして結女は女の子を産む。

 総じてファンタジーな作品。衣食住に関しては妙にリアリティさがありながら、ストーリーや登場人物に関してはリアリティさがなく、ファンタジーの住人のような出来事として描かれてあり、ふわふわとした感じ。夢と現がごっちゃになっているようで、地に足が着いているような着いていないような、とにかくも不思議な感覚のする作品。

 「生命」に関する事については、現実的な描写で分かりやすかった。各登場人物とも性格や人格をイメージさせる服を着ていたし、卓袱台を囲んでの食事のシーンは生活感が如実に表現されていたし、昭和初期を彷彿とさせる住まいや、東京タワーの見える結女の部屋など、生命維持に欠かせぬ衣食住に関してはしっかりと描写されてあり、監督のこだわりといったものが伝わってきた。これらの土台がしっかりしていないといくら家族ドラマだと主張しても伝わらないわけで、家具の配置や生活に関する細々とした小道具までにもこだわりが感じられたのは良かった点だと思う。

 一方で、そういうしっかりとした土台の上で暮らす登場人物たちには現実味が薄く、この作品が作り物であることを示している。個性派が揃い、日常の中にいそうでいないタイプの人物がドラマを展開しており、その筆頭である桃井かおりさんの存在が、やはり特別であり重みがある。ストーリー上の主役は、娘の結女を演じた山田花子さんであるが、この山田花子さんも個性を活かした演技で役にハマっていて良かったのだけれども、その山田花子さんをサポートするためか、はたまた娘の結女のポジションを明確にするためにか、母親役の桃井かおりさんが積極的に絡んでいる感触が強く、そういった点ではやはり桃井かおりさんの個性が全面に表れていた。だが、山田花子さんの演技が良かった。このアートっぽい雰囲気の作品に馴染んでいたと思う。

 一日中開けっ放しの窓。照明の作り出す美しいコントラストの影。鮮やかな色彩。画面の隅にまで神経が行き届いている小物、インテリア。現代の日本のようでありながら、昭和の雰囲気をも合わせ持ち、アジアの空気感までミックスしているような不思議な感触の作品。個性とファンタジーが好きな方に。
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