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「Y.M.O. プロパガンダ」
投稿日 : 2011/04/11 16:21
投稿者 久保田r
参照先
「Y.M.O. PROPAGANDA」

<スタッフ>
監督:佐藤信
製作:大蔵博
脚本:佐藤信
撮影:井出情児
美術:妹尾河童、堀尾幸男
編集:藤枝静樹
助監督:田村猛

<出演>
YMO/細野晴臣/高橋幸宏/坂本龍一/デヴィット・パーマー/和田求由/安珠玲永

<収録曲>
Propaganda/Tong Poo
Behind The Mask
Solid State Survivor
Ballet
La Femme Chinoise
過激な淑女
Wild Ambitions
Chinese Whispers
Key
Kai-koh
Technopolis/Rydeen
M16

1984
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Re: 「Y.M.O. プロパガンダ」
投稿日 : 2011/04/11 16:26
投稿者 久保田r
参照先
 1983年のYMOの散開ライブの映像に映画用に撮影した映像をミックスして作られた劇場作品。1984年公開。出演は、YMOの三人と、少年役の和田求由と、女役の安珠玲永。

 作品の雰囲気は、退廃そして滅びゆく帝国といった感じ。1978年に集合し、1983年に散開するまでのおよそ5年間に世界を舞台に大成功を収めたYMOという巨大な存在を、メンバー自らが壊してゆく様を映し撮り、壊しの美学、滅びの美学といったものをフィルムを通して表現しているように感じた。

 散開ライブの映像がほぼそのまま使われているのは、序盤の「Tong Poo」と「Behind The Mask」のみで、他の楽曲はプロモーションビデオのようなイメージ映像にて構成されている。明確なストーリーというものはなく、台詞に於いても冒頭の女性の台詞と、ラストの少年の台詞以外は、全てYMOの音楽のみ。楽曲に合わせたシュールなイメージ映像の中、少年と女性が様々なシチュエーションと衣装とでゆっくりと退廃的なムードを漂わせて演じている。メンバーの三人もそれぞれイメージ映像に出演しており、橋幸宏さんはクールに、坂本龍一さんは知的に、細野晴臣さんは人なつこい紳士といった雰囲気の役を演じている。

 製作年が1984年のため、80年代当時の洗練されたファッションを身にまとった女役の安珠玲永さんが美しく、どの衣装も一分の隙もなく着こなしていて素敵。作品全体を通してハイヒールが登場し、ハイヒールの鋭利な角度の美しさが当時の女性の美しさを象徴しているかのよう。ファッションに於いては、視覚的に時代的なものを感じてしまうが、映像全体のセンスは、現代にも通ずる美しさに溢れている。小物や建物の映像一つ一つが美しく、娼館であったり安っぽいアパートの一室であったり幻想的な空間であったり洒落た室内であったり工場であったり廃墟であったり、どの場所に於いてもバランスの取れたセンスのいい映像で切り取ってあり、一定の美しさの中で鑑賞することができる。

 ラストは、散開ライブにて実際に使用したステージセットの炎上シーン。千葉の海岸に組み立て、実際に燃やしたもの。燃え上がる炎の中で演奏するYMOの三人の姿が美しく、その後焼け落ちるステージのセットの映像も実に美しい。

 全体に当時だから撮影可能であったであろう映像が所々にあり、なかなかクールさの中に過激さが垣間見えていて面白い作品。YMOの徹底したクールな振る舞いとシュールな映像美のコンビネーションが絶妙。
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