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「ドラッグストア・カウボーイ」
投稿日 : 2011/05/09 16:50
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:ガス・ヴァン・サント
製作:ニック・ウェクスラー、カレン・マーフィ
製作総指揮:ケイリー・ブロコウ
原作:ジェームズ・フォーグル
脚本:ガス・ヴァン・サント、ダニエル・ヨスト
撮影:ロバート・イェーマン
音楽:エリオット・ゴールデンサール

<出演>
マット・ディロン/ケリー・リンチ/ジェームズ・レグロス/ジェームズ・レマー/ヘザー・グレアム/ウィリアム・S・バロウズ/ビア・リチャーズ/マックス・パーリック/ジョン・ケリー/グレイス・ザブリスキー、他

1999年 アメリカ
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Re: 「ドラッグストア・カウボーイ」
投稿日 : 2011/05/09 16:53
投稿者 久保田r
参照先
 "ヤク中"のボブは、幼なじみの妻のダイアンと、同じく幼なじみで"右腕"のリックと、リックが拾った女性のナディーンと4人で、町中のドラッグストアを襲っては薬を盗むという暮らしを繰り返していた。リーダーであるボブは、ナディーンが素人であることから日頃から冷たくあしらい、ナディーンはそれに対して不満を募らせていた。ある日、ナディーンは、ボブが盗んだ薬をくすね、ボブたちが”仕事”に出かけている間にその薬を使用して死亡する。”仕事”も失敗に終わり、ボブはこの夜の出来事をきっかけに"ヤク"から足を洗うことを決める。田舎に戻り、普通の仕事をしながら治療を続けていたボブは、ある日、建物の陰で一人の男性を泣かせている昔なじみのデビッドを見つけ、やめるように諭す。だが、ボブは、デビッドから恨みを買ってしまう。

 別世界の出来事のような、"ヤク"の世界の住人を主人公とした作品。薬は、病気を治すのに欠かせない存在であるけれども、使いようによっては毒にもなる代物で、ボブたちのような"ヤク中"の人間にとっては、薬は、意識が"ハイ"になる特別な存在。作品の序盤でボブたちがドラッグストアを襲い、盗んだ薬を加工して注射器で打つという行動が映し出されており、"ヤク"に対して抵抗感のある私にはショッキングな映像であったが、しだいに"ヤク"にすがって生きる若者の行動や、登場人物それぞれの性格の描写に引かれるようにして最後まで見た。

 "ヤク中"とはこういうものだ、を描写をしながらストーリーが進行しているので、主人公のボブが割合説明的というか理性的な台詞と行動が多い。ドラッグストアを襲う行動力にしても、警察に一杯食わせる作戦にしても、窮地を抜け出す算段にしても、チームのリーダーとして機転が利いており、冷静的な部分をも持ち合わせていたので、知性を感じさせる青年として描かれていた。治療のために訪れた施設の職員から「患者を説得する係をやってみない?」と言われたのにも頷けるほど、話す言葉に説得力のある青年だった。後半では、治療中の患者同士が車座になって話すシーンが印象的だった。

 作品には、なんら「薬物反対」といったテーマも教育的な教えもなく、淡々とボブという青年の行動を描写しているのみ。そして、その仲間たちの心理的な描写。幼なじみのリーダーを立てるリックの口数の少なさや、自分のことを格下に扱うボブに対して子供じみた反発心を見せるナディーン、治療中のボブのもとを訪れ、様子を窺うダイアンの女性的な依存心の強さなど、登場人物の心理描写がボブの人間性を浮き彫りにしていた。"ヤク"という際立った世界を描いている青春ドラマ。
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