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「ターネーション」
投稿日 : 2011/05/11 16:37
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:ジョナサン・カウエット
製作:ジョナサン・カウエット、スティーヴン・ウィンター
製作総指揮:ガス・ヴァン・サント、ジョン・キャメロン・ミッチェル、ヴァネッサ・アルテアーガ、ライアン・ワーナー
脚本:ジョナサン・カウエット
撮影:ジョナサン・カウエット
編集:ジョナサン・カウエット

<出演>
ジョナサン・カウエット

2004年
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Re: 「ターネーション」
投稿日 : 2011/05/11 16:40
投稿者 久保田r
参照先
 テキサス州ヒューストンで生まれ育った31歳の無名の俳優、ジョナサンの半生を綴った作品。母親のレニーは、12歳の時にその美しさをヒューストンに訪れたカメラマンに見出され、モデルとして活躍し、町の有名人となった。だが、事故で屋根から落ち、脳に電気ショックを与える治療が長年行われ、精神を病むようになる。やがて結婚し、ジョナサンを身ごもるも、出産前に離婚。精神的に不安定なレニーは入退院を繰り返し、ジョナサンは里親のもとで育てられるが、虐待を受けたために情緒不安定な子供に育つ。10代前半でゲイであることを自覚し、ゲイの集まる店に出入りし、そこで知り合った仲間とアングラ・ムービーやゲイ・カルチャーの世界に没頭する。やがて大人になり、ニューヨークへ。そしてニューヨークの自宅で母と生まれる前に別れた父と3人で会う。レニーは、精神の病の治療のため投与されたリチウムの過剰投与により、脳に損傷を受ける。レニーと祖父との確執を見兼ねたジョナサンは、母を連れてニューヨークへ帰り、共に暮らすようになる。

 ”自分はどこから来て、どこへ行こうとしているのか”を、子供の頃からずっと模索し続け、撮り貯め続けた映像を編集している。映像で記録を残すことは、「自分探し」に適した方法であり、色々と様々な手法で映像処理が施されても、そこに映し出されているのは、まぎれもなく一人の男性の生々しい半生であるため、フィクションなどよりももっと深く、本人とその家族にしか知り得ないことを白日のもとに晒している痛々しさがある。本人が撮影したものを本人が編集しているためか、遠慮がなく且つ自分自身と家族の精神に深く入り込んでいるため、今ひとつ観ている側に伝わり難い感じがある。だが、この作品は本人が手掛けなければ子供の頃から連綿と続いた「自分探し」に一つの区切りをつけることが出来ないであろうし、また作品にここまでの痛々しさを込めることが出来なかったことだろうと思う。

 製作総指揮の一人、ガス・ヴァン・サントの作品「ドラッグストア・カウボーイ」をつい最近再鑑賞したばかりであったためか、2つの作品に共通する空気感みたいなものを感じ取った。「ドラッグストア・カウボーイ」(レビュー:http://chaos-i.com/review/cinema/patio.cgi?read=898&ukey=0)は、"ヤク中"の若者の行動と人間性を淡々と描いている作品で、観る側と作品との間にある程度の距離感があった。が、当作品の「ターネーション」は、もっと短い距離感で監督本人の半生を描いて見せている。生きることの血の繋がりと痛さを感じさせる濃い作品。
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