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「誘拐ラプソディー」
投稿日 : 2012/05/24 15:33
投稿者 久保田r
参照先
<スタッフ>
監督:榊英雄
原作:萩原浩(「誘拐ラプソディー」)
脚本:黒沢久子
撮影:藤井昌之
美術:井上心平
編集:清野英樹
音楽:榊いずみ
主題歌:「元少年の歌」フラワーカンパニーズ

<出演>
高橋克典/林遼威/船越英一郎/YOU/哀川翔/菅田翔/榊英雄/木下ほうか/笹野高史/品川徹/角掛和枝/寺島進/ベンガル/美保純/山本浩司/日向丈/渡来敏之、他

2010年 角川映画
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Re: 「誘拐ラプソディー」
投稿日 : 2012/05/24 15:35
投稿者 久保田r
参照先
 「特命係長 只野仁」「サラリーマン金太郎」等の代表作を持つ高橋克典さんを主演に、誘拐転じて逃亡劇を描いた作品。逃亡生活の相方となる伝助という名の子どもを演じるのは、林遼威くん。子どもの父親役には哀川翔さん、母親役にはYOUさん。刑事役には船越英一郎さん。他に豪華なゲストが多数出演している娯楽作品。

 伊達秀吉は、運にツイてない男で、家族もなくお金もなく、あるのは前科と借金ばかりで、遂にある日自殺を試みる。だが、死ぬこともままならず、乗り込んでいた車の中から突然見ず知らずの男の子が飛び出して来て驚く。その6歳の少年、伝助は、塾に行くフリをして家出して来たと言い、伝助の住むお金持ちそうな家の外観を見た秀吉は、誘拐を思いつく。刑務所で同じ房だった受刑者から教わった通りに実践するも、伝助が殊の外懐いてしまったばかりに計画通りに行かない。仕方なく伝助と一緒にお金を持って逃亡するが、伝助の父親がヤクザだと知り、身の危険を思い知る。とうとう金を奪い返され、また一文無しに。秀吉は、「おばあちゃんの家に行く」という伝助を連れ、出会った公園へと戻る。

 「約束は、守るためにあるんだよ!」の台詞が印象に残る作品。運に見離された情けない男を演じる高橋克典さんがいい味を出しており、わがままで強情な少年の伝助に振り回されながらも、しだいに奇妙な絆が生まれ、時間を追うごとに伝助に対して暖かな情を持つようになるまでの様子が巧く表現されていてよかった。伝助も、なかなかにいい味のある少年。勉強は多少苦手でも、秀吉の言うことをきちんと聞いて吸収し実行する柔軟性を持っており、どこか天然でどこか才覚を持った明るい少年を演じている。誘拐されたという危機感を全く持っていないのがこの作品の救いであり、且つ伝えたいところではないかと感じるしだい。伝助という名前の意味が作品の中でしっかりと生きている。

 役柄に見合ったキャスティングが見どころで、伝助の父役でありヤクザの組長役である哀川翔さんは、流石の風格と存在感で、母役であり妻役のYOUさんは、微妙で絶妙なスタンスの中、巧みな演技を見せていた。刑事役の船越英一郎さんは、特別出演であるにもかかわらず抜群の存在感。ちょっと変わった人物を演じているが、人情味のある刑事の雰囲気が十分に出ていた。他にも、少ない出番ながら豪華なゲスト出演が随所にあり、出演者を見るだけでも楽しめる作品となっていて良かった。

 誘拐、ヤクザ、逃亡というスリリングな要素の詰まった作品ではあるけれども、シリアスな悲劇性はなく、全体的に子どもが活躍するほのぼのとした雰囲気の作品。だけれどもヤクザが出演するシーンはどれも緊張感があり、怖さが漂っている。監督が演じた岸田の最後のシーンは、見どころの一つ。それと対照的に、ラスト近くの伝助少年と秀吉のキャッチボールのシーンは、二人が逃亡生活の間に育んだ疑似父子のような絆が表現されてある感動的なシーン。現実的には秀吉はツイてない男かも知れないが、伝助少年との出会いはきっと秀吉の心に変化をもたらした。大人と子どもの友情物語。
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